第9話 お出掛け♪ お出掛け♪ ラストはカフェで

(カラン、カラン♪ いらっしゃいませ)


「ああ! つかれたぁ!」


 かなり時間じかんかけていましたからね。ぼくづかれです。


「そばにいてくれたらかったのに」


 無理むりです。


「もう! にすることないのに!」


 気にします。レディースの、それも下着したぎまで。そんなところにおとこがいたら通報つうほうされます。


「マジメか! てか、そんなんされないって」


 わらいごとじゃありません。


「ゴメン、ゴメン。でもさ、そういうのもれじゃん? てか、れてもらわないとデートも出来できないんだけど」


 デートって……。


不満ふまん? わたしとデートじゃ?」


 そういう意味いみではないです。


「じゃあ、どういう意味?」


 ほっぺふくらませるとかわいいかお台無だいなしですよ。


「ごまかすな!」


 はいはい。ま、たりまえはなしです。ミケコがどうおもおうが、僕とミケコではとしはなぎています。世間せけんはよくてくれません。げんにさっきのブティックでだってミケコは目立めだってて、そのぶん僕を見るが……。


「それはね、ミケコちゃんがレベチでかわいいから❤」


 たしかにそうだけど。


「な……っ! 素直すなおめるなっ!!」(バチン!)


 ったぁ! かくしでたたかない!


「て、照れてないもん」


 とにかく、世間体せけんていがあります。女子高生じょしこうせいくらいのと、いいとししたおっさんなんて。僕よりもミケコに迷惑めいわくかかります。


「そんなん、どーどーとしてればいいのに! 人目ひとめなんてにするなぁ! たぁぼう、おっさんって年でもないじゃん。私、いうよ? このひとは私の恋人こいびとですって。なんだったら見せつけてやる」


 だれが恋人ですか。そういうことやって、あのお高いお店ブティック羽目はめになったのに。


まもってくれたのはかっこよかったぞ」


 まちときにはねこになってげたっていってませんでしたっけ? さっきだって……。


「たぁ坊いて一人ひとりで逃げるわけないじゃん! そんなこともかんないわけ?!」


 僕としては、ミケコがあぶないうほうがこまります!


「はあっ! 保護者ほごしゃ!? ぬしとしてぇっ!?」


 ちがいます! おんなの子でしょ、きみは。


「あ……。そ、そっか、女の子って、見てくれてるんだ?」


 いつも見てますよ、だから僕は……。


「ラッキースケベに戸惑とまどっちゃう?」


 そこでそういうことをいうから、ミケコは……。


「ゆーて、たぁ坊のほうがまだ、きずってる? 失恋しつれんとか、女の人がこわいとか?」


 うーん……。


「私といてたのしい? 私こそ迷惑じゃない?」


 もしかして、ミケコ、つかってくれてる?


「そっ! いや、まあ……」


 そっか。ぎゃくに気を遣わせてたか。ミケコのためにって、今日きょうそとしたけど。


「そういうことじゃなくてぇ!」


 ありがとう。ミケコは今日、楽しかった?


「え? そ、それはもちろん! たぁ坊のおさそいだったし! ハプニングはあったけど、一緒いっしょにお出掛でかけが楽しくないわけないじゃん?」


 そっか、それならかった。じゃあ、僕も楽しかった。


「なに、それ? そっちこそ気ぃ遣ってんの?」


 なんでおこってんの?


「気を遣われたくありませぇん!」


 よく分かんないけど、そういうことじゃなくて、ミケコが楽しくしてくれれば、僕も楽しいってこと。


「ほんとに?」


 そこでうそついてもなんとくもないでしょ。


「そっか♪ なら、良き。せっかくはじめて二人ふたりでお出掛でかけだもん、おたがい楽しまなきゃ」


 そういういいかたはなんか意識いしきしてしまいますね。


「意識したっていいのよん。てか、意識しろ。女の子をエスコートしてるっていう!」


 相手あいてがミケコだからなあ。


わらうにゃあ!」


 フフフ。まあ、いいでしょう。世間体もありますが、それを意識しすぎてもいけませんよね。今日きょうはミケコが主役しゅやくであるのは間違まちがいないですから。


「そういってもさぁ、ミケコちゃんとお出掛け、たぁ坊だって意識してたんじゃないの?」


 してません。


「ほんとに? 今日のたぁ坊、かなりおしゃれさんなのに♪」


 そ……っ! ほら、店員てんいんさんがってますよ! すいませーん!


(はぁい。いまきます)


「ごまかしたぁ」


 ほらほら、店員さん来ましたよ。へんかおしていたらわらわれます。


「ウフフフ……。そのはなしはまたあとでね。ど・れ・に、しようかな♪」


 迷惑にならない程度ていどでゆっくりめてください。


(……以上いじょうでよろしいですか? 少々しょうしょうちください)

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