第10話 デート♪ デート♪ はい、あーん❤

(おたせしました。……こちら、特製とくせいきたてカスタードアップルパイのバニラアイスえと紅茶こうちゃです)


 すいません。それは彼女かのじょです。


(こちらがこのあき限定げんていしぼりたて和栗わぐりのモンブランとコーヒーです。……ごゆっくりどうぞ)


 あ、はい。ありがとうございます。


た、来た♪」


 がケーキになってますね。


「ネットでさ、たとき、絶対ぜったい、これ! エモい! って、おもったけど」


 それでもなやんでましたね。


「だってさ、店頭てんとうのケースにはいっぱい、メニューにもいっぱい! 目移めうつりするのたりまえじゃん!」


 そういうところは普通ふつうおんなわりませんね。りませんけど。


「もう! 普段ふだんどんなふうに見てるわけ? ミケコちゃんを!」


 ねこです。


「さっきは女の子あつかいしてくれたのにぃ!」


 女の子の姿すがたをしているときは、そりゃあ。


「ぶぅ! もうずっと女の子でいようかな! それじゃあ! ラッキースケベもそうなるといっぱいになって、たぁぼうにはウッハウハかあ」


 へんかたしない。完全かんぜんひとになるというなら、もっとそとにもて、まちにもれないといけませんね。


今日きょうみたいにぃ、たぁ坊が一緒いっしょなら❤」


 あまえたこえで甘えたこといわない。まあ、内弁慶うちべんけいさんを一人ひとりで街にほうすわけにもいきませんけど。


だれが内弁慶か!」


 自覚じかく、ありません?


「うぅ……。いじわるぅ……」


 フフ。かわいいですよ、そういういじらしいところは。


「うっさし! ちょっと優位ゆういったからってぇ! これだからおとこは!」


 たのしそうでなによりです。


「楽しくない! もう、ケーキべよ! (はむ❤) あ! これ、おいしい! やっぱ、こっちにしてかった!」


 さんざんまよっただけありましたね。


「でも、そっちもおいしそう!」(パクリ)


 あ、こら!


「うーん! やっぱおいし❤」


 ったんなら、こっちもどうぞ。


「ほんと! ……あ、でも、それは女子的じょしてきにどうなん?」


 知りません。デートもしたことないぼくかないでください。


「これって、デートじゃん?」


 そうなんですか?


「もう! 最初さいしょからいってるし! わたしはそのつもりだったし、だから楽しみだったしぃ!」


 あ、ゴメン。


「あやまるくらいならぁ❤ はい、あーん」


 ちょ……!


れない、照れない。デートっぽいことしよ」


 もう。(……パク)


「て、照れるね、これ私も」


 おたがいさま、ですね。


「キャハハハ! たしかに。まだいたてのうぶだ。一緒にらしてるのにね」


 フフフ。


「なぁによ?」


 ミケコはわらってるほうがかわいいですね。


「と、当然とうぜんじゃん!」


 お互い、ゆっくり慣れていきましょうか。


「な、なに、に?」


 え? だから、ミケコは街に、僕は女性じょせいに。


「あ、ああ、そういうね」


 このおみせのケーキも気に入ったんなら、また来ましょうか?


「ほんと! だったらぁ、全種類ぜんしゅるい食べつくそう!」


 ちょっとは遠慮えんりょしてください。たかものばかりも出来できません。今日は特別とくべつです。


「ああ、さっきのお店ブティック。ちょっと買いすぎ? ゴメンて。だって、あそこの店員てんいんさんススメ上手じょうずだったんだもん」


 人見知ひとみしりのミケコがほだされるくらいでしたからね。


「おかげでサイズとか、えらかたとかかったよ。これでまたネットで下着したぎ買えるね!」


 おおきなこえで、そういうことは!


「フフン。でぇも、ほらほら」


 な、なんですか! おみせのなかで、む、むねを!


「かっこいいかたちになってなぁい? 私のおっぱい。さっき買ったのさっそくけてもらったんだあぁ」


 知りません!


「目をそらしちゃいやん」


 もう! ほら、アイスけますよ? 長居ながいするとお店にも迷惑めいわくです。


人目ひとめばっか気にするんだから。そういう気遣きづかい、わるくはないけど」


 なにかいいました? ……僕、ちょっとお手洗てあらいに……。


「あ……、あぶない! かばん、かってる!!」


 えっ? ……あっ! こ、こけ……!!


(ぽよん❤)


 ゴ、ゴメン!


「……っ!」


 い、いや、これはラッキーとかではなく!


「……」(パクパク、ゴクン)


 えーと、一気いっきあわてて食べると……。


「いいから! さ、いこ」


 って、って! なに、おこって……? あ、荷物にもつ……。


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