第2話 かまってちゃん

 あれ? どこった?


なにさがしてんの?」


 いや、ね……。


「もしかして、わ・た・しぃ?」


 きみなんてりません。


「もう! そこはうそでもそうだよっていうところでしょ!」


 そうなんですか?


「このニブチン!」


 なんですか、それは。


「え? いにゃん❤ 大好だいすきなひとをほっておく野暮天やぼてんってこと」


 好き? だれが、誰を?


「ほんと! かわいくない!!」


 二十代にじゅうだいなかぎたおとこをつかまえてかわいいはそもそもないですね。


「そうよねえ♪ そのとしまでおいもしたこともないんですもんねえ」


 ほっといてください! そこは!!


になっちゃって、かわいい❤」


 きみにからかわれてもなんとも思いません!


「かわいくない!」


 それよりも、ですね……。


無視むしするなあ」


 ですから、あれがないとスケジュールの確認かくにん出来できないんですけど。知りません?


「あれって、何よ」


 手帳てちょうです。大事だいじなものなんですが。


「もしかして、これ?」


 うをうぅ!


「な、なによ、すっとんきょうなこえあげて!」


 む、む、むねのあいだに、それ……。


「ふふん。おっきいでしょ? いいでしょ?」


 じょ、女子じょしが、そんな、はしたない。


古風こふうか! てか、中学生ちゅうがくせいか!!」


 中学って、君……。


「ふっふふん……」


 な、なんですか? にじりってこないでください。


「お相手あいて、してあげようか?」


 な、なんの?


「さあ。何でしょ?」


 な、なにを……。


「フフン。ドーテーには刺激しげきつよすぎるかなあ」


 そ、それよりも、それをかえしてください!


「あ、もうなおった」


 返してください!


「そっちはまだおっきしてないか。意気地いくじなし」


 うわ! どこ見てんですか!


「女子か! そのポーズは!!」


 い、いいですから!


「もう! だから、あたしをかまえっての!」


 こら! こんなときねこ姿すがたになって! あ、そんなところへ……!


「イーだ! つかまえてみなさいよ!」


 ですから、それがないと……、って、そうだ。スマホを見れば……。


「あ、こら! 行くな! 私はここだぞ、やぶいちゃうぞ、これ!」


 ▼▼▼


 天真爛漫てんしんらんまん自由じゆうまま。

 ぼくをからかうばかりのかまってちゃん。


 猫って、おんなって、こんなものなの?!


 ……そういえば、彼女かのじょ名前なまえ、なんだろう。


 大事だいじなこともわすれているのに、彼女はどうしてぼくにかまうんだろう?

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