第22話 逆襲
「なんだい!外に居た兵は何をしているんだ!」
魔女が慌てたように声を荒げ、ドアを乱雑に開ける。
意識が朦朧としている中で見た光景は、外に居た原住民が色々な方法で死んでいたことだった。当たり一面に血の海が広がり、目も当てられない惨状だった。
「捕らえな!そいつは酷い目に遭って死んでもらう!」
顔をひどく歪め、魔女が叫ぶと、五十人ほどの取り巻きが一斉に先輩に襲いかかる。
まずい…先輩は十分経たないと能力を発動できない…それで、さっき発動したはずだから、今の状態では抵抗できない。
「先輩…今の状態では勝てない…」
ニッとこちらに顔を向けてくる。
「安心しろ。僕は大丈夫だ。」
そうモブキャラのようなことを言って、襲いかかってきた奴に対し、デコピンを喰らわせる。
そう。デコピンだけで、デコピンだけど敵の頭部を吹き飛ばしのだ。
頭の無くなった屍は血飛沫を派手に上げながら崩れ落ちる。
「な、なんだい…あんたは…」顔が真っ青になっていく。
「あんたは…チーターとかいうものなのかい…?」
その問いに対して、先輩がニヤッと笑う。
「チーターではないかな…まぁ、実質チーターみたいなもんではあるけどな。そっちの敗因は僕を舐めてかかったことだね。じゃ、死んでくれ。」
先輩と僕の以外の場所が崩れて、魔女とその取り巻きが押し潰される。
「あははは…あははははっ!」
狂気に満ちた顔で先輩が笑い続けている。
やっぱり、似合っている。『死神』という異名が。
※
自分は関係ないのに周りの人がどんどん死んでいってしまう。
いや、大体関係あることだっけな。今更、あれこれ言って言い訳する気にもなれないや。
自分を保つために笑う。
狂気だと言われても構わない。
どれくらい笑ったのだろうか。口の中が乾いて、水を欲している。
後輩の状態がとても悪いということに今気づく。
「大丈夫…ではなさそうだね。ごめん。」
「先輩…怖かったですよ…それよりも、解毒薬とかって…ありますか…?」
苦しそうな顔でこちらに訴えかけてくる。
僕は慌てて色々と漁る。このままだと後輩が死んじゃうかもしれない…
ここまでほっといて笑っていたという罪悪感がのしかかってくる。
倉らしきものの奥に宝箱が入っている。そこを探してみると、案の定、『解毒剤』というラベルが貼っている瓶が見つかった。
「はい」と言い、瓶を投げる。
苦しそうな顔で後輩が飲み物を流し込む。
みるみる内に、顔色が良くなり、動きが機敏になってきている。
さぁて…荒らしますかぁ…
あははっ!
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