第17話 再会
あの事件があった後、僕を見ても狩りに来る人は激減した。
危険人物扱いされ、見てもヒソヒソと言い合うだけだった。襲ってこないだけいいんだけどさぁ…
すると、突然掲示板に通知が来る。
少し不安に思いつつ、掲示板を見る。すると、信じられないことが書いてあった。
『10万人の新規プレイヤーが凶悪犯を捕らえるために追加されました。また、指名手配犯の懸賞金を一億円にします。凶悪犯を捕らえるために協力をお願いします。』
新規プレイヤーを入れた…?ただのキチガイじゃねぇか!捕らえるために巻き込むなよ。……僕のせいだけど。
こんなのが出されたら狙われる。予想はしていたが、ちょっと急じゃないかな…?
どこからともなく現れてきたプレイヤーが僕の周りを囲む。奇襲をしようとしたけど、一歩踏み出せなかったのだろう。そんなプレイヤーが集まっていている。
わぁすごい。まだギリギリ10mに入ってない。
「最期に言い残すことはあるか?」
強気な男がこちらにジリジリと近づいてくる。
「それ以上近づくと…」
『死神の能力が発動しました。半径10mが不幸になる確率は70%です。』
知ってた。
メキメキと軋む音がし、大木が倒れてくる。
慌てて格闘家で対応しようとしていたが、それで耐えれるぐらい軽くはなかった。
大木は彼の体を押し潰し、光の粒子となってどこかへ飛んで行く。
ぼーっと、光が飛んでいく先を見ていると、離れていく足音が聞こえた。
やっぱり、ゲームの世界からも忌み嫌われる存在なんだな。
「うっ…ぐっ…」
寂しい、悲しい、苦しい。そんな感情が入り混じり、思わず涙が出てくる。
「大丈夫…ですか?」
ぐちゃぐちゃになった顔で振り向く。すると、16歳位の青年がこちらを見ていた。
「君は…最初の…」
彼は笑いかけた。
「安心して下さい。大変でしたよね。」
※
最初に巻き込まれたときは何が起こっていたか分からなかった。
僕が最初に話しかけた人が入ってきた途端、延焼して、自分も巻き込まれた。
火傷の痛みとかで、激痛が走って、最期の記憶はあの人が警察に追い込まれている所だった。
だけど、僕はあの人に会いたかった。
会って、冤罪であることを証明したかった。
だって、あの人は一切事件に関与していなかった。
探している内に、WW3が始まってしまい、見つけ出すことが困難になると思われた。
そう。僕は【精鋭】。しかも、一番弱い【精鋭】だから、1番目の人とチームになるしかなかった。
位置情報が公開されてから、僕は全力で走った。1番目の精鋭を殺されてたまるかってね。
すると、突然大雨が降ってきた。そして、僕の周りを囲むようにして木が倒れてきた。
僕はスキル【幽霊化】を使い、危機を脱した。
大木が倒れた方角に向かい、蜘蛛の子を散らすように逃げていった人たちとは真逆の方向に行き、1人泣いている人を見つけた。
1人だけという虚しさがそこに漂っていた。
色々と言葉を考えたが、この言葉しか思いつかなかった。
「大丈夫…ですか?」
そうすると、彼が振り向いた。涙でぐちゃぐちゃになった顔だった。
アバターの見た目を変えたようだが、隠しきれないあの人の感じがした。
「君は…最初の…」
彼が消えてしまいそうな声で呟いてきた。そうだ。この言葉で確信した。僕が最初に出会ったあの人だ。
僕は安心させるように笑いかける。
「安心して下さい。大変でしたよね。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます