第7話 ロック
※
心臓がバクバクと音を立てる。しっかし、危険なやつ多すぎじゃないか…?
しかも、警察に向かってバーカとか言っちゃったし…後々大変なことになるやつだよね?
死神が僕を下ろしてくれる。死神が居なかったら今ごろ僕死んでたからね。ほんと、命の恩人だわ。……死神だけど。
「ありがとう。貴方が居なかったら僕は死んでたよ。」
深々と頭を下げる。これくらい、いつもやってるから手慣れたもんだ。皮肉なもんだよな。
「いやいや。
だんまりを決め込んでいた死神が突然話し始める。うわぁ!びっくりした!話せるの?
「あ、話せるんだ…。でも、君も疲れたでしょ。少し休んでおけば?」
「そうですな。少し休んでおくとしますか。」
自らアイテム欄に入ってくる。良かった…話ができるタイプの死神で…今の会話は会社で学んだやつだからな。ブラックがここで活きるとは。
さぁ…どうしようか…
うん。泣きたい。
※
「え?凶悪犯を捕らえるための精鋭部隊が全滅したぁ!?んなわけあるかぁ!ちょっと要素寄こせや要素!」
俺は電話越しに叫ぶ。鬼カス含めるあの部隊が全滅とかありえねぇだろ!きっと、なにかの手違いだ。
「はぁ…朝からよくそんなに騒がしくできるね…ほらよ。辻本。これが全滅したときの映像らしいぞ。何故か僕経由で来たけど…」
岡島が欠伸をしながらUSBを渡してくる。俺はそれをぶんとり、パソコンに接続する。鬼カスの目が、録画の役割を果たしてるんだっけ…便利な目だな。
「ふーん…犯人の特徴は黄色い帽子被ってて、サングラスを付けてると…。体型は痩せ型。スキルは…分からないな。」
画面を頬杖をついて見ながら、メモを取る。一応これでも捜索班だからな。それにしても、すぐに捕まえられそうだけどな。
突然、隊員の一人が宙に浮く。そして、首を刈り取られたかと思ったら、魂の状態になって、どこかへ吸い込まれていく。
「何が起こっていやがる…」思わずそう呟く。不可解な現象が多い。カメラに映らないスキルなんて存在するか…?
動画を一旦止め、ルールのところにある、役職一覧表を表示する。このゲームの中で一番多いのは、ただの市民で50%、次が格闘家で25%、マジシャン10%、狙撃手が5%、メンタリスト5%、神5%、その他0.04%…確か少し人数が変動するから…100%を超えていてもおかしくなくて…
「その他…か?」
その他だったら俺達は太刀打ちできない。カメラにも写っていないんだから、スキルと探ることだって不可能だろう。もう一度、動画を再生してみると、犯人が何もしていないが、仲間が同士討ちを始めて混沌としている。精神を蝕む系か?それだったら余計厄介だが…。
すると、映像の中の犯人が喋りだす。
『不幸になる確率だよ。』
は?確率?わっかんねぇ…一切情報がない。精神に絡んでくるのかと思ったら確率とか言い出すし…全然分かんない…
「あーあ…これは捜査がだりぃやつだよ…なぁ。ゲームを制御している運営に言っといて。『黄色い帽子被ってて、サングラスかけてるやつを、ゲームから抜け出せないようにしろ』って。」
「はーい。」
遠くから声が聞こえる。はぁ…これ、犯人が確保されるまで、俺達帰れないやつじゃん…
そして、運営から、『システム変更終わりました。』と、メッセージが来る。
「始めましょかねぇ…」
俺はまたパソコンに向かった。
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