第6話 アイテム
死神が見てきたのとほぼ同時に、アナウンスが表示される。
『実績解除【逮捕寸前】【死にかけ】。よって、アイテムを二つ付与します。』
『アイテム【死神】【鎌】。取得成功しました。』
『【死神】プレイヤーが危険に陥ると、自動的に出現します。もとに戻しますか?』
はいといいえの選択肢が出てくる。ちょっと、働いてもらわないと自分じゃ敵わないかもしれない…
僕は迷わず、いいえを押す。
『了解しました。では、死神に鎌を持たせますか?』
死神に鎌とか…最凶やん。鬼に金棒、死神に鎌だぞ?
こちらも迷わずはいを押す。
死神が悠々と歩き出す。やっちゃってくだせぇ!死神さん!
※
死神が部下の首を掴んでいる。なんだ…?あの現象は…
「上司…助け…」
言い終わらない内に、どこからか出現した鎌で首を掻っ攫い、魂の形にして取り込む。
「くっ…あのプレイヤーに向けて撃て!あいつが元凶だ!」
全員が射撃体勢に入る。よし…これであいつを殺れる!
「撃て!」
隊員が引き金を引く。勝った。そう確信したが、何故か銃声がしない。
「何をしている!早く銃を撃て!あいつに慈悲などいらない!」
そう叫んだが、よく見ると、隊員たちはガチャガチャと引き金を引いている。時折、マガジンを確認しているが、弾は入っているらしく、首を傾げている。
「クソッ!」と言った隊員が銃を殴りつける。衝撃で、中に詰まっていたであろう弾が、発火し、爆発する。それは、マガジンに入っている弾にも連鎖して起こり、大爆発を起こす。隊員は後ろに吹っ飛び、木に激突する。
「ガハッ」
隊員の体から、大きな棘が出てきている。この木はっ!
「総員、退避だ!後ろの木はトゲマツだ!触ったら刺されるぞ!」
だが、そのときには統率は取れていなく、私の声は何一つ届いていなかった。
銃を乱射するやつもいれば、ただ騒ぐやつも居た。次第に、トゲマツに触り自爆するやつや、使い物にならない銃を振り回し、死神に捕らえられたり、同士討ちをし始めた。
そして、とうとう私一人になってしまった。まずい…こうなったら、私一人だけでも逃げて情報を落とす!このゲームで死亡判定になると、警察側はゲームを永久追放となってしまう。情報を落とさないで永久追放は、もう警察失格もんだ!
意外にも死神は移動速度は遅い。これくらいなら逃げられる!
「僕のことを忘れてないか?死神に気を取られすぎだろ。本来の目的を忘れてるぞ?」
「なっ…」
忘れていたっ…こいつを捕まえるはずだったのに、仲間のことに気を取られていた!
私が止まって、戦闘態勢を取ろうとすると、ゆっくりと話しかけられる。
「なぁ…99%これが何の数値か分かるか?」
「…なんだ。その確率があったところで何だと言うんだ。」
はぁ。と彼が大きなため息をつく。そして、こう言い放った。
「不幸になる確率だよ。」
私は後退りする。何を言って…
足に硬いものが触れた感覚がする。これは…
「地雷草…」
瞬時に爆発する。大量のエラーが画面に吐き出され、激痛を覚える。だが、こんなものを近くで喰らったらあいつも…
残された右目で見たのは、死神が彼を空中で抱きかかえている所だった。
「対戦相手を選べ。バーカ。」
はぁ…負けか…
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