第5話 掃除はやらない主義

入学して一年の時。


担任の先生は、おじいちゃんで穏やかな人でした。

これが良く無かったんですね。


遅刻は多いし、勝手に帰っちゃうのが続出です。

おまけに掃除当番とか誰もしません。

ので、教室の後は食べたパンのバニラ袋やお菓子の空袋、弁当の残骸その他もろもろで

ゴミ教室になって行きました。


これには教科を教えにくる先生達は

激怒してましたが、全く知らんぷりしてました。


担任の先生から

「皆さんも女の子なんだからね、こんなに

汚い教室嫌でしょう?

今日は帰りに残って下さい。

私と一緒に掃除しましょう。」


たぶん、職員会議で問題になったんだと思いました。


その日の帰り時間。

先生はやって来ました。

そして、箒と塵取りを持ってゴミ袋にゴミを入れ始めました。


それを見た私達は、先生って大変だなぁと

思いました。

なので、

「先生、ありがとうねーー。

じゃあ、ひとりで頑張ってー!

さよーならーー!」

とお礼を言い、さっさっと帰りました。


今から思えば、酷いことをしたなぁと思います。

先生は定年間近で、温厚な人だったのに。


若いって残酷です。


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