track07:測らなければ熱などないと、過信していた

SE |玄関ドアがバタンと閉まる音

SE |続いて、どさっと人が倒れ込む音


結依 |// 明るい声から一転、慌てたように

「おかえりーって、どうしたの!?」


結依 |// 焦るような声で

「おにい、ねぇ、お兄ちゃん!?

 お兄ちゃんってば!」


結依 |// 悲痛な声で

「やだあっ!」


結依 |(悲鳴のように何度も兄を呼ぶ声が、だんだん遠くなる)



(長めの間)



SE |翌朝を表す、チュンチュン音


(目覚めると、自分の布団に寝かされていた)

(泣きながら眠り込んだらしい妹が傍らで寝息を立てている)

(主人公、思わず「結依……」と呟く)


結依 |// ぼんやりした様子で

「おにい……あれ、朝……?

 ゆい、ねちゃってた……?」


(結依、はっと主人公の顔を見る)


SE |がばっと飛び起きる音


結依 |// ボロボロと泣き出して

「おにい……よかったぁ……」


結依 |// しゃくりあげるように泣きながら

「おにい、すごい熱だったの。

 このまま目がさめなかったら、どうしようって。

 ずっとね、すごくすごく怖かった。

 このままいなくなっちゃったら、どうしようって」


結依 |// 泣きながら訴えるように

「おねがい、結依のために無理しないでいいから。

 もっと自分の好きなことだけしてていいから。

 そばにいてくれるだけでいいから。

 だからどうか、結依をおいていかないで……!」


SE |主人公が結依を抱きしめた、衣擦れの音


結依 |// 胸に顔をうずめて、くぐもった声で

「……うん……うん。

 ずっと、一緒にいてね……」


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