お兄ちゃんは練習台！？～距離感が近すぎる妹と、１ＤＫふたり暮らし～【ASMR風】

track08：共依存でもかまわない

結依　｜// きりっとした声で、バイト先に欠勤連絡中

「――はい、はい。直前のお願いで、本当に申し訳ございません。……え、いえそんな、こちらこそ、いつもありがとうございます！　はい、また次のシフトの際に、よろしくお願いします。失礼いたします」

ＳＥ　｜ピッと、電話を切る音

結依　｜// 安堵した声で

「ふぅ、これでよし、と」

ＳＥ　｜鍋の蓋がカタカタ踊る音

結依　｜// 軽く焦って

「あっ、お鍋！」

ＳＥ　｜コンロの火を弱火にし、蓋のカタカタ音がやむ

結依　｜// 安堵した声で

「よかった、間に合った～。

　ええと、次はネギネギ、っと……」

ＳＥ　｜ネギをトトトトトと軽快に刻む音

ＳＥ　｜まな板を包丁がシャーっと滑り、ネギがポトポトと鍋に入る音

ＳＥ　｜グツグツグツグツ

ＳＥ　｜林檎をショリショリすりおろす音

ＳＥ　｜カチッとコンロの火を消す

結依　｜// 明るく

「お待たせ～」

ＳＥ　｜ローテーブルにカチャンとお盆を置く音

結依　｜// 小声で

「んしょ、っと」

ＳＥ　｜主人公の傍らに座り込む、衣擦れの音

ＳＥ　｜カチャっと、陶器のどんぶりから、れんげでおじやを掬う

結依　｜// 優しく

「はい、おじや。

　ネギと卵が入ってるから、栄養タップリだよ♪」

結依　｜// 優しく

「ふーっ、ふーっ」

結依　｜// 優しく

「はい、あーんして」

結依　｜// ちょっと拗ねた様子で

「もう、誰も見てないんだから、ヘンに恥ずかしがらなくていいの！

　病人なんだから、たまには結依にも甘えてよ。

　いっつもおにいに甘えさせてもらってばっかなんだし……」

（主人公、観念して口を開く）

結依　｜// 優しく

「ん、いいこいいこ。いっぱい食べてえらいねぇ。

　ヨシヨシしてあげる！」

ＳＥ　｜頭を撫でる音

結依　｜// 明るく

「さ、デザートはすりおろし林檎だよ～♪

　はい！」

結依　｜// 驚きから、一転して軽く怒った様子で

「えっ、出勤する時間！？

　ぜったいに休まなきゃダメーーっ！」

（長めの間）

結依　｜// 静かに

「ん……おにい、寝ちゃった……？」

結依　｜// しんみりと

「あのね、誰が結依を引き取るかって親戚の人たちが揉めてたとき、お兄ちゃんが自分がすぐに就職して稼ぐから、だからこれからも一緒に暮らすんだって言ってくれたの、すごくすごーく、嬉しかった」

結依　｜// しんみりと

「そしたらお兄ちゃんは夢を諦めなきゃならなくなるんだって知っていたのに、私なんかのことは気にしないでいいよって言うべきだったのに、でもお兄ちゃんと離れたくなくて、どうしても言えなかったの……」

結依　｜// しんみりと、でも微笑みながら

「今まで守ってくれて、ありがとう。

　でもこれからは、結依がお兄ちゃんを守る番だから。

　だからもう無理はしないって……ねぇ、約束だよ？」

ＳＥ　｜添い寝のために横になる、衣擦れの音

結依　｜// 耳元で囁くように

「おやすみなさい……」

ＳＥ　｜結依の規則正しい寝息が、続く

（おしまい）