第二のゲーム 脱出
「行くんだな、竜」
「ああ。行きたくないけど」
ソファーに座って、ゲームの準備をする竜。
そんな彼を心配そうな顔で電次とシュウは見ていた。
「必ずクリアしてきてね」
「もちろんだ、シュウ」
そう言って竜はサングラス型ゲーム機を装着する。
「じゃあ、行ってくる」
サングラス型ゲーム機は蒼く光り出し、竜の視界は白く染まった。
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「……ここは」
気が付くと竜は、白い建物の中にいた。
美しい絵画。天井から吊るされたシャンデリア。赤い絨毯。
まるで城の中のような場所にいた竜は、周囲を見渡した。
「……とりあえずスキルを手に入れるか。スキルカード」
竜がそう言うと、彼の目の前に緑色のカードが出現。
カードは粒子へと変わり、竜の胸に吸い込まれる。
そしてウィンドウが現れる。
<><><><>
『
・武器や体の表面などに強硬な外殻を生成する。
・身を守る盾にもなり、敵を倒す武器にもなる。
<><><><>
「なるほど……外殻か。使えそうだな」
竜がそう言った時、彼の目の前に新たなウィンドウが現れる。
<><><><>
クエスト:脱出
クエスト内容:城から脱出せよ。
制限時間:三時間
<><><><>
「脱出……面倒そうだな」
今回のクエストは脱出。
つまりこの城から抜け出さなければならないということ。
「まずいな……今回のクエストでは俺のスキルは役に立たない」
竜が持つスキルは身体能力を強化する『機甲鎧』と防御力を上げる『竜外殻』。
どちらも戦闘には役に立つが、脱出には向いていたい。
「とりあえず出口を探すか」
竜が出口を探そうとした時、
パァン!パァン!
発砲音が聞こえた。
気になった竜は音が聞こえた方に向かおうとした。
「おっとその前に……スキル発動」
万が一のことを考え、竜はスキルを発動。
彼の身体が機械の鎧に覆われる。
そしてその鎧の表面に分厚い外殻が生成された。
「これが『竜外殻』……めちゃくちゃ硬そうだな」
外殻に覆われた腕同士で叩いた。
するとガキン!と金属音が鳴り響き、火花が飛び散る。
(これならある程度の攻撃は防げるな)
竜は駆け足で音が聞こえた方に向かった。
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「ここか」
音が聞こえた所に到着すると、そこには人型の豚が無数にいた。
そしてその人型の豚―――オークの頭を、一人の女性が拳銃で撃ち抜いていた。
「あの人……まさか風林さん!」
銃撃をしていたのは風林サキだった。
「この声……黒川くん?」
竜の声に反応し、彼女は振り返った。
その時、一匹のオークが手に持っていた棍棒をサキに向かって振り下ろした。
「!危ない!」
竜は地面を蹴り、オークを殴り飛ばした。
「ブヒイィィィィィィ!?」
吹き飛んだオークは他のオークたちとぶつかり、倒れる。
その隙に竜はサキを両手で抱える。
「ちょ、黒川くん!?」
「風林さん!少し我慢してください!」
竜はサキを抱えたまま、その場から離脱した。ダッシュで。
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