友達にも悲劇が
最悪なゲーム、スキルプレイヤーが始まってから一ヶ月が経った。
あれから竜はいつも通りの生活をしていた。
ご飯を食べ、学校に行き、家に帰って、アニメを見て、ベットで寝る。
それを繰り返していた。
一時でもいいからスキルプレイヤーのことは忘れて、平穏の生活がしたい。
だから竜はいつも通りの生活をしているのだ。
だが一つだけ変わったことがあるとすれば、学校が終わった後、サキと時々あっていることだ。
サキは漫画のアシスタントをしており、アニメや漫画に詳しく、竜と趣味があっていた。
そんなある日、竜の家に電次とシュウがやってきた。
「どうした二人とも。連絡なしにここに来て」
家に上がらせた友人二人はどこか暗い顔をしていた。
「その……実は」
「竜に相談したいことがあって」
「俺に?」
「あのさ……スキルプレイヤーって知ってる?」
シュウの言葉を聞いて竜はまさかと思い、尋ねる。
「お前ら……まさかあのゲームを」
「ああ」
「うん」
「……そうなのか」
まさか親友二人があの最悪のデスゲームに参加してしまったことに、竜は驚くと同時にショックを覚えた。
スキルプレイヤーは金と特殊能力が手に入る。
だがゲームにクリアできなければ、大切な人たちが死ぬ。
そんな最悪なゲームに友人二人が巻き込まれたことに、竜は悲しかった。
「一回目のゲームはクリアできた。だが……」
「次……クリアできるかどうか分からない。もしクリアできなかったら……」
竜はそんな二人を見て理解した。
彼らは不安で押しつぶされそうになっていると。
電次と修には親だけでなく、大切な恋人がいる。
もしクリアできなければ、恋人は死ぬ。
事実、一回目のゲームをクリアできなかったスキルプレイヤーは大切な人たちを失い、悲しみと絶望で苦しんでいる。
「一人で抱えるには大きな問題でな」
「どうすればいいか分からないんだ」
「……」
暗い顔をする親友二人。
そんな彼らに竜は、
「クリアしよう。このゲームを」
「「!!」」
「二人には黙っていたけど、俺もスキルプレイヤーなんだ」
「嘘だろ!?」
「嘘でしょ!?」
「本当……だから二人の気持ちはよく分かる。だからこそ言う。……クリアしよう」
スキルプレイヤーは、十種類のゲームをクリアすることで抜け出すことができる。
つまり……希望はあるのだ。
「俺は家族を死なせたくない。だから死ぬ気でクリアする。二人にもいるんじゃないのか?死なせたくない人が」
「……僕は凛を…妹を死なせたくない」
「僕もナナちゃんを死なせたくない!」
電次とシュウから暗い顔は消えた。
瞳には必ずクリアするぞという強い意志が宿っていた。
「ならクリアしよう……絶対に。そしていつかあの魔女をぶっ飛ばすぞ!」
「……お前はすごいやつだよ」
「なんで彼女ができないか不思議だね」
「うるせぇ」
「……プ」
「ハハハハ」
「アハハハ」
三人は笑い合った。
もう親友二人に不安はない。
あるのは絶対にゲームをクリアするという強い気持ち。
「よし。とりあえず三人でどこか飯でも」
竜がそう言っている最中に、目の前にウィンドウが現れた。
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これより第二回目のゲームを開始します。
スキルプレイヤー、黒川竜はVRサングラスを装着してください。
もし一時間以内に装着しなかった場合、大切な人たちが死亡します。
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