5話 「はしゃぎすぎてて困る」
「つ、着いた〜〜!」
「せんぱいありがとうございます。つかれましたよね。」
「でも、ここからですよ。今日はめいっぱい楽しみましょ。」
(歩く音)
「ひとり1200円ですって。私払いますよ。」
「え、だってだってこんな遠くまで車で送って貰ったじゃないですか。お金いらないって言うし、せんぱい。」
「だ、か、ら、ここで払わせてもらいますよ。」
(チャリーン)
「ありがとうってそんな、こちらこそがありがとうですよ。せんぱい。連れてきてくれて。」
「さっそく入りましょうか。楽しみですね。早く早く!!」
(足音 とことこ)
「見てください!おっきいですよせんぱい!ブラキオサウルスですって。名前初めて知りましたよ。」
「こっちは、ステゴサウルス!私これ好きなんですよね。背中のとげとげがかわいいじゃないですか。」
「せんぱい、はやく~。こっちきてくださいよ~。」
「歩くの遅いですよ。え、私が小走りだから?す、すみません。楽しくて。」
「こ、これはティラノサウルス!!かっこいいですね~。やっぱり男の子はこういうのが好きなんですか、せんぱい。プテラノドンのほうが好き?あはは、空飛べますもんね。せんぱいらしくてかわいい。」
「ふむふむ、化石ってこんなふうにできるんですね。こういうところ来ると、一時的に頭が良くなった気がしません?私そうなんですけど。」
(足音 とことこ)
「わあ~~もう一周しちゃったみたいですよ。お土産コーナーに来ちゃいました。」
「恐竜のぬいぐるみ可愛いです。あ、せんぱいが好きって言ってたプテラノドンありますよ!」
「Tシャツとかもあるんですね~。かわいいかも。」
「せんぱい、お土産何買いますか?私どうしようかな~。」
「これにしよ~。なにって秘密です。」
「買ってくるので待っててくださいね。絶対どっかいかないでくださいね。絶対ですよ~。」
(足音 とことこ)
「お、おまたせしました~。結構並んでて。待たせちゃいましたよね?すみません......。」
「あの、はいこれ。」
「開けてみてください。」
「さっき見てたぬいぐるみあるじゃないですか。先輩が好きだって言ってた、プテラノドン買ってきたんです。」
「それで」
(袋ごそごそ)
「私がステゴザウルスにしちゃいました!」
「かわいかったのでおそろい?みたいな感じにしたくて。いやでした?」
「あ、ちょっと私のステちゃんかえしてください!とらないで~。」
「プ、プテラノドンのほうをくれるんですか?」
「なんで......?お互いの好きなもののほうが一緒に言った感あるでしょって。確かにそうかもしれません!せんぱいナイスアイデアですね。」
「そんなこと思いつくなんて私のことよく考えてくれてるんですね。すっごくうれしいです。なんちて。」
「あーあ、今日楽しみにしてたのにもう終わりですね。今日を待ってる時間のほうが長かったというか。」
「せんぱいも楽しかったですか?」
「それはよかったです。」
「また2人でどっか行きましょうね。私、楽しみにしてますから。」
「遊園地とか、水族館とか、動物園とか映画館とか。」
「にひひ。とかとかうるさいですか?せんぱい。」
「でもせんぱい優しいから、きっと一緒に来てくれるって信じてますよ。」
「考えとく......か......。」
「せんぱいらしくて好きですよ。その返答。」
「気長に待ってます。」
「さ、さ、かえるの遅くなっちゃうのでそろそろかえりますか。」
「せんぱい。帰りも運転お願いしますね?」
(足音 とことこ)
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