3話「無防備で困る」

(すーすー寝息の音)


「むにゃむにゃ、ケーキおいしい.....。もう食べられない......。」


「むにゃむにゃ、もうあさですかあ。」


「はっ、嘘、寝ちゃった?」


「せんぱい、すみません!寝ちゃいました。」


「怒ってますか?」


「怒ってない?良かったあ、私、せんぱいに嫌われちゃったら、生きてけないですもん。」


「でも、昨日もうちょっとせんぱいと呑んでたかったですよ。ざんねんです。」


「ホラー映画観ただけだったじゃないですか。」


「あ、というかせんぱい、今日予定とかあったらお邪魔なので帰りますけど、大丈夫ですか?」


「なんにもないなら良かったあ。じゃあ、もう少しだけいてもいいですか?」


「えへへ、やったあ。」


「せんぱい、朝ごはんですか?自炊してるって言ってましたもんね!なに作るんですか?一緒に作りたいです。」


「私、ウィンナー食べたいです、あと目玉焼きと、お味噌汁?」


(おなかの音が鳴る)


「お腹なっちゃいました、早くしないとですね。えへへ。」


「先輩、お味噌汁作ってくれるんですか?じゃあ私、ウィンナーと玉子焼きますね~。」


(ジュ― 焼く音)


「せんぱい、目玉焼きは半熟でいいですか?」


「ですよね!私も半熟派です。じゃあそう作りますね!」


「せんぱいは味噌汁何入れるんですか。わかめと、じゃがいも?」


「じゃがいもって合うんですか?私、初めて、です。」


「楽しみです。えへへ。」


「さあ、出来上がりましたよ~。じょうずに半熟ですよ、せんぱい。」


(お茶を入れる音。)


「ささ、冷めないうちに食べましょ。せんぱい。」


「いただきま~す。」


(むしゃむしゃ)


「お味噌汁、じゃがいも合いますね。すっごくおいしい。」


「私もおうちでこれから入れてみよかな。」


「あとはお味噌汁に何入れるのが好きですか?私は、玉ねぎとか大根とか?」


「せんぱいの好きなお味噌汁今度作ってあげますね。」


「せんぱいそういえば、どっか行きたいところあったりしますか?」


「その、えっと、今度一緒にどっかいきませんか?」


「いやですかね......。」


「いい?やった~嬉しい。ほんとですか?」


「私が決めていいんですか?じゃあ、博物館とか行きませんか、恐竜のとか!」


「化石とかせんぱい、わくわくしませんか。男の子はみんな好きですよね


「しますよね!こんなおっきいのが昔は生きてたんだとか思うじゃないですか。」


「ちゃんとチケットとっときますね。」


「せんぱい、車出してくれるんですか?優しすぎて惚れちゃいますよ。」


「......もう惚れてますけど。」


「なんか言ったかって?い、いやいやひとりごとなんで気にしないでください。」


「じ、じゃあごちそうさまでした。私食器洗いますね。せんぱいはゆっくりしていてください。」


「こっちこなくて大丈夫ですよ?ごはんいただいたお礼なんでほんとに座っててくださいって、ね?」


「え、ケーキ食べてから?朝からよく食べますね。私も食べられますけど。」


「じゃあこのいちごのやつとオレンジのやつどっちがいいですか?」


「私、いちごにしちゃおっかな~。うそですよ。せんぱいいちご好きですもんね。そう思って買ってきたんですもん。」


「あ、でも一口交換しましょ。いい?やった~。」


「たーべよ。あーむっ。んん~~~おいし。」


「せんぱい、どうぞ。あーん。」


「おいしいですか?私にもあーんしてください。」


「あーむ。おいひいです。」


「こんなに朝から幸せで罰当たりませんかね、なーんて。」


「こんなこと言うと、幸せ逃げちゃいますね、ごめんなさい。」


「じゃ、私食器洗いますね!せんぱいはほんとに休んでて下さい!」


(歩く音)


(食器を洗う音)

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