第38話 俺YOEEEEEE!

魔法少女になった2人はすごく可憐で美しかった。

そもそも俺が魔法少女好きなのもあるけど。


「絶対に勝つよ!」

「叩きのめしてやるワン!」


2人は魔力で杖を顕現させた。 

魔法少女特有の杖だね。

ニチアサとかで出てきそう!


「どこまでやれるか見せてもらいましょうか」


バンジキュウスは戦いの場を用意したとでも言わんばかりに、世界を上書きした。


さっきまでいた玉座の間ではなく、青空が広がっていた。


「ここは私の支配領域である塔の頂です。狭い玉座の間では存分に暴れられないでしょう?」


てことは、さっきまではこの下にいたんだ。



「それじゃ行くよ、〈全知全能滅殺流星剣〉!」


リンちゃんが杖を振ると、青空は夜空に変わり、全知全能滅殺剣が流星群の如く、無限に降ってきた。


一斉にバンジキュウスに降り注ぐ。

すごい威力だね。

これはかなり効いたんじゃない?


「こんなものですか」


やっぱり効いてない。

しかも、無傷。

流石は全神未到といったところ。


「やっぱりこれじゃ倒せないよね」

「ならこれでどうだワン!」


今度はキラリンが杖を振る。

すると、天地が漆黒に染まり、バンジキュウスは奈落の底に引き摺り込まれていった。


「〈奈落の冥界神(タルタロス)〉だワン!この牢獄にぶち込まれたら出られないワン!」


バンジキュウスの反応は消えた。

ということは、封印成功かな?


「やけに脆い牢獄ですね」


と思ったら、バンジキュウスは〈タルタロス〉を容易くブチ破って出てきた。


「〈タルタロス〉を破ったのかワン?」


「破ったと言いますか、〈タルタロス〉が私の支配域に耐えられず自然崩壊です。黒色に他の色を混ぜても黒に塗り潰されてしまうでしょう?あれと一緒です」


つまり、支配域を破らない限りはバンジキュウスが圧倒的に優勢な状況が続くってわけね。


「次はこちらから行きますよ」


そう言ってバンジキュウスが指パッチンをすると、突然2人が跪いた。


「何これ!?体が勝手に!」

「なんでこんな奴に土下座してんだワン!?」


キラリン、ツッコミどころが違うよ。


「私に仇なす者は平伏するのみです」


何をしたんだろう?

服従的な能力かな?


対抗するために、俺はバンジキュウスに〈絶対強制服従〉を発動する。


名の通り、相手の攻撃・防御を一切無視して強制的に服従させるもの。


これで上書きできるかな?


「有澄、無駄ですよ。これは攻撃でも特殊能力でもありません」

「攻撃じゃない?」


「はい、これは言わば体質のようなものです。私に挑む者は、過程がどうあれ必ず敗北という末路を辿ってしまいます」


「なら、結末を変えるだけだね」


俺は、〈超絶全宇宙完全支配〉を行使する。

これは〈時空操作〉〈絶対不可侵領域〉〈因果律改変〉〈全宇宙破滅創造〉など様々なチート能力の集合体と言えるもの。


その中の〈因果律改変〉を発動する。

過程をすっ飛ばして、敗北という結果にするなら、結果そのそのを変えればいい。


しかし―――


「これも無駄です。私が引き起こす敗北は因果律によるものではありません」


これも駄目かぁ〜。


「やっぱチート能力雑魚!俺YOEEEEEE!」




― 第39話に続く ―

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