チート能力が雑魚すぎる世界 〜俺のチート能力、雑魚ですか！？〜

第37話 マジカルリンカ☆！

突然、キラリンが待ったをかけた。

「あぁ、御一行の中でも比較的弱い方ですか。

名は確か“キラリン”と」

「誰が弱いワン！それにキラリンは本名じゃないワン！」

「それで、あなたが何の御用ですか？」

「海奈、今回は余にやらせてくれワン」

「あなたが私のお相手を？ふざけておられるのですか？」

キラリンがバンジキュウスに喧嘩売った。

すごい度胸だね。

尊敬するわ。

「キラリン、相手は全神未到です！非常に危険ですよ！」

「余1人じゃ勝ち目はないワン。でも…」

「あたしも戦う」

リンちゃんが前に出てきた。

「リンちゃん！？正気なの！？」

「凜華ちゃんまで…！」

「バンジキュウス、あなたはやってはいけないことをした。あたしはあなたを許せない」

「ほう、いつ私はあなたを怒らせてしまったのですか？」

「アーくんをオカそうとしたでしょ！」

えぇ？

今度は効果音（ピー）なしですかぁ？

「アーくんはあたしだけのモノなのにっ！あたしだけのモノなのにぃぃぃっ！許せないぃぃぃぃぃぃっ！！！」

なんかリンちゃんが暴走したぁぁぁ！

ちょっとやめてよ。

リンちゃんはパーティメンバーの中ではまともな方なんだから。

リンちゃんまでおかしくなったら、パーティメンバーは完全なる変人で溢れてしまう。

…え？

俺はリンちゃんだけのモノなの？

「見たところ、あなた方お二人は果那輝海奈やクズゴミンより遥かに格下。それで私に挑もうなど片腹痛いものです」

「そう言っていられるのも今のうちだワン」

「キラリン、あたしたちの力を見せてあげよう！」

おぉ！この2人の共闘！

激アツ展開だね！

「有澄、前に余の職業は魔法戦士だと言ったなワン？あれは嘘だワン」

「え？嘘？」

「アーくん、実は私も魔法使いは仮の姿なの。本当の姿を見せる時が来たみたいだね」

「本当の姿！？」

「いくよ、キラリン！」

「おうワン！準備万端だワン！」

2人は息を合わせる。

「「変身！」」

変身と書いて「マジカルトランスフォーム」と言ってます。

2人は眩い光に包まれていく。

そして―――

「マジカルリンカ☆！」

「マジカルキラリ☆！」

2人が魔法少女に変身したぁぁぁぁぁぁ！！！

「そう、実はあたしたち魔法少女なの」

「すごいです！2人共！」

「すっごくかわいいねぇ〜！」

「ウチみたいな年増女に対する拷問？」

1人だけ反応が悲しい。

そんなことより…

「うぉぉぉぉぉ！2人共ぉぉぉ！すっごくかわいいよぉぉぉぉぉぉ！」

気付いたら、俺は法被を着てサイリウムを振り回していた。

アイドルのライブでもないのに何やってんの俺。

でもしょうがないよね。

だって俺、魔法少女大好きなんだもの！

「えへへ、アーくんが見てくれて嬉しい！」

「余をもっとちやほやしろワーン！」

俺のガチオタムーブに2人は喜んでるけど、他は違うみたいだね…

「有澄くん…それはちょっと…」

「アーくん、熱上がりすぎじゃない？」

「どーせウチみたいな年増女より若くてピチピチの女の子の方がいいんでしょ〜？⤵️」

姉ちゃん！？

さっきの求婚テンションはどこ行ったの！？

てか、クズゴミンがちょっとネガティブになっちゃってるよ！

「許せません…私より有澄の気を引くなんて…やはり、あなた方はここで始末しましょう」

「させないよ！」

「やれるもんならやってみろワン！」

―　第38話に続く　―