第28話 これは罠と言えますか?

「いやぁ…。それにしてもホントにすごい宮殿だねぇ。お宝取れなかったのが残念だけど」


「こんなに綺麗なら3人が飛びついちゃうのもわかるかもね」


「装飾に見惚れてはいけませんよ。いつどこに罠が仕掛けてあるか分かりませんからね」


俺たちは、バンジキュウスがいるであろう支配領域の最深部に向かっている。


両親には姫と会ってくれたら解放するとか言ってたみたいだけど、海奈さんから聞いた姫の性格上、それが本当かどうか怪しいからね。


さっさとソイツを倒して、両親を助けないと。


「あの花瓶、大っきいヒマワリが飾ってあるワン…。種うまそうだワン…」


キラリンがでっかいヒマワリを見てよだれ垂らしてる。


「食うな!」

「うわぁっ!引っ張るなワン!」


俺はキラリンを無理矢理引き戻す。

さっき、まんまと罠に引っ掛かったくせにまだ懲りないの?

(俺もなんだけど)


「罠の気配がしますね。気をつけてください」


海奈さんが罠の気配を察知したみたい。

それに続いて、皆も警戒する。


…ん?

なんだろう、嫌な予感がする。


「海奈さん、これは罠と言えますか?」

「はい?」


その予感は見事に的中。

天井の装飾品かと思った黄金の剣は、一斉に俺たちに刃を向け、すごい勢いで降ってきた。


俺たちならこのくらいの剣、余裕で壊せるけど…。

RTA(リアルタイムアタック)中なので走って逃げることにした。


「逃げろぉぉぉぉ!」

「うわぁぁぁぁぁ!なにこれぇぇぇぇ!」

「ワンッ!痛っ!ちょっとかすったワーン!」

「ご安心ください!すぐに治してあげます!」

「お姉ちゃん、走るの疲れちゃったー☆」

「動くのめんどくさ〜い。寝ながら走るね」


すごい!

マジダルイが寝そべりながらすごいスピードで飛んでる!

流石、全神未到!

まさに神の為せる技!


あ…、神超えてるんだった。


その後も…。

落とし穴、一口でも食べるとデブる料理、〇〇しないと出られない部屋、などなど全ての罠にまんまと引っ掛かかり続けた俺たちは、ようやく最深部に辿り着いた。


「うわ〜ん!怖かったよー!」


リンちゃんが俺に泣きついてきた。


「あの肉、ちょっとかじっただけでブクブクに太っちまったワン」


ちなみに、デブったのはキラリン。

これは…想定内だね。


そして…、○○しないと出られない部屋では何があったのかというと…。

…ご想像にお任せします。


そんで、目の前には巨大な扉がある。

ここを開けた先にバンジキュウスがいるんだね。

開けようと扉に近づいた時だった。


ギュィィィィン…。


俺たちの前に召喚陣が描かれ、何者かが召喚された。


「なんだワン?」

「何か出てくるよ!」

「これが最後の罠みたいだね」


召喚陣から現れたのは、なんと謎の生命体。


鷲の頭に獅子の胴体を見るにグリフォンだと思うんだけど、竜の翼と蛇の尻尾が生えてる。


まさに…混沌(カオス)!


…え?そうでもない?


「有澄くん、この子家で飼えませんか?」


「飼えませんよ、もうウチにはハムスターが一匹いるんですから」


「余はペット扱いワン!?」


「いやアーくん、お姉ちゃんには分かる!これは高く売れるよ!」


「流石姉ちゃん!目利きいいね!」


そんなことをベラベラ喋ってるうちに、グリフォンは俺たち目がけて炎のブレスを放ってきた。

鳥の口から炎!

技も混沌(カオス)!


「はぁ~、だっるぅ〜…」


マジダルイは大きくため息をつくと…。


バッチン!


ピューン…。


ドゴォォォン!


グリフォンをデコピンで吹っ飛ばし、壁に激突させた。

グリフォンは即座に絶命し、壁に馬鹿でかい穴が空いて青い空が見える。

…あれ、もう終わり?


「な〜んだ、つまんないのぉ~」


すいません。グリフォンさん、あなたにはマジダルイのかませ犬になってもらいました。


とりあえず全部の罠を踏破したので、いよいよ扉を開けます。

さぁ、ご対面だよバンジキュウス。





― 第29話に続く ―

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