第27話 本題忘れてませんか?
俺たちが転移してきた先は、今まで見てきた全神未到の支配領域とは全く違っていた。
メッソウモナイの時みたいに森羅万象のような一切虚無のような場所でもなければ、カイジンニキスの時みたいに黒い塵が漂う不気味な場所でもない。
…一言で言えば、ゴージャス!!!
まるで西洋の宮殿みたいな、全体的に黄金に輝く広すぎる部屋。
赤・黄・緑・青・白・紫などカラフルに光るシャンデリア。
なぜか天井にぶっ刺さってる無数の黄金の剣。
螺旋階段、そこら中に落ちてる宝の山。
なんだここ…、すっげぇぇぇぇ!
「うっひょぉぉぉぉ!宝の山だぁぁぁぁ!☆」
「これで家の金欠も解決だね!」
「余も貰っていくワン!」
つい欲望に目がくらんだ俺と姉ちゃんとキラリンは宝の山に飛びついた。
これ持ち帰ったら、億万長者間違いなしだね!
これで念願のニート生活だよ!
グハハハハ!
「危ないですよー!」
「2人共、勝手に取っちゃダメだよ!」
海奈さんとリンちゃんが注意する。
しょうがないでしょう。
目の前に大金が落ちてるんですから。
人間は金の力に勝てないのですわ〜!
オーホッホッホ!
…すると、マジダルイが言った。
「あ、それホントに危ないよ〜」
「「「え?」」」
どうしたのかと思ったら、時すでに遅し。
ドッカーン!!!
なんでか分かんないけど、俺たちが飛びついた瞬間、宝の山が大爆発した。
しまった、これは罠だったのか。
なるほど、お宝で釣る戦法か。
やられたよ。
…恐るべし、バンジキュウス。
大爆発をもろに食らった俺たち3人は髪の毛がチリチリのアフロになっていた。
「うわぁぁぁぁ!お姉ちゃんの髪型がアフロになっちゃったぁぁぁぁ!アーくんに見てもらうために2時間かけてセットしたのにー!」
姉ちゃんはアフロどころかリーゼントっぽくなっちゃってる。
それにしても2時間かぁ…。それはキツいね。
「フッ…、アフロヘアの余も中々イケてるワンね…。キラリーン☆!」(超絶キメ顔)
キラリンはアフロになりながらも、鏡に向かって超キメ顔をしている。
…いや、どんだけポジティブなんだよ。
―――――――――――――――――――――
「どう?アーくん。髪型戻った?お姉ちゃんかわいい?」
時空操作で俺たちの髪型を元に戻した。
そしたら姉ちゃんがめっちゃアプローチしてくる。
「…アァ、ウン。カワイイヨ〜」
「えぇ〜?なんか微妙な返事ぃ〜。…ハッ!まさかアーくん、お姉ちゃんのこと嫌いになっちゃったの!?」
「むしろ大好きです!…ってしまった!つい本音がっ!」
「もう〜!アーくんってば本当お姉ちゃんっ子なんだから〜!♡」
そう。俺は姉ちゃんのことブラコンブラコンって言ってたけど、実は俺も普通にシスコンだったりするんだよね…。
なんだかんだ自分のこと好いてくれる人っていいよね。
一方、キラリンは―――。
「髪型戻ったのはいいけど、せっかくのお宝が黒焦げになっちゃったワーン!」
まだお宝ショック引きずってるみたい。
「結局、お父さんとお母さんにお金借りる羽目になっちゃった(;´д`)トホホ…」
姉ちゃんも地味にお宝ショック。
「しょうがないよ。また頑張ればいいじゃん!目指せ億万長者!」
「そうだね!お姉ちゃん頑張る!」
「余も頑張るワン!」
「いいね!その調子だよ!」
「ワーハッハッハ!」
「ワーハッハッハ!」
「ワーハッハッハ!」
戦犯3人が高らかに笑う。
…すると、海奈さんが言った。
「あの…3人共、本題忘れてませんか?」
「「「あ」」」
― 第28話に続く ―
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