第25話 誰がババアじゃゴラァァァァァァッ!
「誰ぇ〜?」
なに?この女?
外見は…アラサーくらいかな?
ふにゃふにゃした喋り方に、ボサボサの髪、ヨレヨレの服を着ている。
てか白Tシャツ1枚じゃん。
なんだろう、だらしないのにエロい!
服がビロンビロンに伸びてるから肩とか胸元とかはだけてるし、太もも露出しまくってる!
はっきり言って最高だよこのオバさん!
…ん?
彼女が着てる服をよく見てみると…
「それはまさか…負けTシャツ!?」
そのTシャツにでかでかと「従ったら負け」と書いてあった。
それは俺が愛用している、働いたら負けパーカーとよく似ていた。
てか今着てた。
「ん〜?君はこの服に興味があるのかな〜?」
「だってそんな服着てるってことは君も社畜ってことでしょ!?」
「社畜?んー、ちょっと違うかな。君たち人間みたいに会社で働くとかじゃないから」
「あー、そうなんだ…」
ん?
なんか大事なこと忘れてるような…?
あ。
「アンタ不法侵入じゃん!」
「今更!?」
「今更ですかっ!?」
危ねぇー。服のせいで共感するとこだったよ。
「誰なの!?どっから入ってきたのぉ!?」
「まぁまぁアーくん、落ち着いて」
だからなんで姉ちゃんは落ち着いてられんの?
「じぃーっ…」
海奈さんは彼女を凝視する。
「あれ?もしかしてあなたは…?」
「あ、気付いたー?久しぶり〜、海奈〜」
海奈さんのことを知ってる?
「ウチは全神未到の一到、マジダルイだよ〜」
「マジダルイだぁ〜?」
なにそのひどすぎる名前。
なんで全神未到ってそんな変な名前の奴ばっかなの?
あ、でも確かにこの人(?)寝そべりながら「マジダルイ〜」とか言ってそうだね。
てことは、さっきの相関図だと「怠」のとこに入るのかな?
いや、そんなことより!
「なんで全神未到がここに?カイジンニキスと同じで海奈さんが狙いなの?」
「んー?違うよ?君たちとは戦いたくないし」
「え?戦いたくない?」
「うん、全神未到が君たちにやられまくってるのは知ってるから。ウチが勝てるなんて思ってないよ」
「それなら、なんで来たの?」
「姫を倒すんでしょ?ウチも協力してあげる。暇だし」
「「「え?」」」
またもシンクロツッコミ。
「全神未到は帝王の取り巻きじゃなかったの?」
「そうなんだけどねぇ〜、ぶっちゃけめんどくさいんだよねぇ〜」
それからマジダルイは、帝王への不満をぶちまけまくった。
「あの帝王とかいうやつ、ウチとは好み全然合わないんだよね〜。ウチはなんもしないでダラダラしてたいのに、アイツはウチらを好き勝手こき使うしさ〜。従ってるの馬鹿らしいから逃げてきちゃった☆」
なるほど、だから従ったら負けTシャツ着てたんだ。
「俺はいいけど、海奈さんが…」
海奈さんは全神未到を倒そうとしてるみたいだし、そんな簡単に仲間にはしないでしょ。
「マジダルイ!あなたは帝王の敵!つまり私たちの味方ですね!仲間に引き入れましょう!」
あっさり仲間にしたー!
そんなわけで、なんやかんやで全神未到が仲間になりました。
「えっとマジダルイ…だっけ?帝王を倒すのに協力してくれるってのは、本当?」
「うん、ウチのだらだらライフ満喫のためにもね~」
なるほどね、俺と目的は同じ。
というわけで利害は一致した。
「ようこそ!海奈さんの魔法使いパーティへ!あなたを歓迎します!」
「ありがと~。でもなんかその名前ダサいね」
「ダ、ダサッ…!?」
まじか、皆の意見を融合させて命名したのに!
ちょうどその時―――。
「あれ、あたし何してたんだっけ?」
「ワォーン?ハッ!意識飛んでたワン!」
リンちゃんとキラリンがフリーズから解放されたみたい。
2人は必然的にマジダルイと目が合う。
すると、リンちゃんが叫んだ。
「不法侵入だ――――――!」
…まぁそうなるよね。
「誰だワン!このズボラババア!」
「誰がババアじゃゴラァァァァァァッ!」
キラリンが地雷踏んだみたい。
ババアって言われると怒るんだ…。
覚えておこう。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「…んで、君たち何してんの〜?」
俺たちを見て、マジダルイがこんなこと言ってきた。
まぁ当然だよね。
一応、勇者パーティだけど…。
今やってるのがテレビゲームなんだもん!
「有澄!見るワン!この前100万コインだったのが1000万コインになったワン!」
「へぇ、そりゃすごい……現実で稼げぇぇ!」
このツッコミ、前もやったのでだいぶ省略しました☆(10話)
ゲームの中で億万長者になっちゃうと、現実の世知辛さが浮き彫りになっちゃうでしょ!
これはあんまり言いたくないけど、実は3ヶ月くらいまともに働いてないから全財産が底を尽きそうなんだよね…。
「姉ちゃん、ウチの通帳ある?」
「うん、これだよね?」
「そうそう!これこれ…は?」
預金残高を確認すると…9999円。
ヤバくね?
1万もないの?
「どうしたのアーく……!?!?」
通帳を見た姉ちゃんは、驚きと戸惑いが同時に来たような顔をして、口を大きく開いている。
姉ちゃんが変顔なんて珍しい。
…なんて考えてる場合じゃなかった!
「姉ちゃん…どうしよう?」
「しょうがないね。お父さんとお母さんに頼んでお金貸してもらおっか」
「うん…」
読者の方々の中にも何となく気になっていた方がいたんじゃないかな?
そう、俺の両親のこと。
基本的に漫画とか小説の世界では、主人公の両親って物語開始時点で死別してたり、行方不明でいなかったりするよね?
…しかーし!それはフィクションの話!
ここは正真正銘、現実なのでそういうのはありませーん!
ウチの両親は普通にいまーす!
…まぁ今は海外に出張で家にはいないけどね。
そんなわけで両親に電話して、仕送りをもらえるか確認してみることにした。
― 第26話に続く ―
…え?
これも小説の世界だろって?
それは言わないお・約・束☆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます