第24話 料理の才能ないワンね

― 翌朝 ―


「もう朝かぁ…」


現在、朝の6時。

結局、5時間ぶっ続けでネ◯フリ観てた。

楽しい時間って経つの早いなぁ…。


「腹減ったぁ…確か冷蔵庫にプリンあったよね」


俺はキッチンに行く。


「有澄くん、おはようございます」

「海奈さん?」


エプロン姿の海奈さんがいた。

流石海奈さん、朝も早いですね。

それにしても…、海奈さんのエプロン姿…破壊力がすごいよ…。


「今から朝ごはん準備しますねー」

「いつもすいません」


「いいんですよ。住まわせていただいてる身なんですから。それで、朝ご飯は何がいいですか?」

「じゃあ、カレーで…」


「ちょぉぉぉっと待ったぁぁぁぁ!」


突然、リンちゃんが勢いよく飛び出してきた。


「凜華ちゃん?」

「リンちゃん?」


「朝ごはん、あたしも作る!」

「「え?」」


リンちゃん、なんか焦ってない?


「どうしたの急に?」

「いいから!」


―――――――――――――――――――――


なんやかんやで2人は俺のリクエスト通り、カレーを作ってくれた。

そして、またまたリンちゃんが藪からスティック発言。


「アーくん、ここにAとBのカレーがあります。どちらかがあたしのカレーで、どちらかが海奈さんのカレーだよ。食べてみてどっちが美味しかったか言ってみて」


テーブルには2皿分のカレーがあり、それぞれにAとBの紙が置いてあった。


はい?


「いや、順位付けるは必要ないんじゃない?」


「ダメ!あたしはアーくんに美味しいって言ってもらいたいから!」

(あたしのカレーはA…。海奈さんに負けるわけにはいかない。絶対にAの方が美味しいって言わせてみせる!)


「そう?じゃあAからいただきます…」


俺がAのカレーを食べようとした時だった。


「おはようワン…お腹空いたワン…」


眠そうな表情をしたキラリンがやってきて…。


「カレーが2つもあるワン!美味そうだワン!いただくワン!」


全部食いやがったぁぁぁぁぁぁ!


「キラリン!?何やってんの!?」

「食欲に負けちゃったワン(*ノω・*)テヘペロ♪」

「テヘペロ♪、じゃねぇんだよぉぉぉぉ!」


「それにしても、Aの方はまずいワンね〜」

「「「!?」」」


「Bはうまいのに、Aはクソまずいワン。A作った奴、料理の才能ないワンね」


キラリィィィン!

何言ってんだお前ぇぇぇぇ!


「うわぁぁぁぁん!」


リンちゃんが泣いて出ていっちゃったよ!

追いかけないと!


「リンちゃーん!どこ行くのー!?」

「キラリンの馬鹿ぁー!」


「凜華のやつ、どうしたんだワン?」

「キラリンはもうちょっと言葉を選んだ方がいいですね」

「?」


その後、俺はなんとかリンちゃんを連れ戻し、

今は皆で朝食タイム。


メニューはもちろん……Aのカレー。

リンちゃんが作った方だね。


キラリンがはっきりクソまずいって言ってたから、どんなもんかと思って食ってみると…。


あんまこういうことは言いたくない。

でも、これは言わざるを得ない。

はっきり言おう…。


まずい!

クソまずい!

超超超クソまずい!


よくキラリン平然とした顔で食えたね。

具材何入れたのさ。

もはや、カレーの見た目をした毒物だよ。

見た目は普通のカレーなのに味は毒物とかおかしいでしょ。

逆に才能だよ。


俺は顔が引きつるのを必死に堪える。

リンちゃんも涙目で食ってる。

海奈さんは黙って真顔で食ってる。


そして姉ちゃんは―――。


「もぐもぐ…。おいしいねー!」


美味そうに食ってる。

味覚おかしいねこの人。


「ネ◯フリでも観よ」


特に会話がないので俺はテレビをつけた。

すると、ニュースで…。


『先日、世界遺産である黒神山地、その森の更に奥に洞窟が発見されました!世紀の大発見です!まさに前人未踏の地です!』


「前人未踏…全神未到…?」


なんか聞き覚えあるような…?


「あっ!そういえばそんな奴らいたわ!すっかり忘れてたよ」


いっけねぇ!俺たちソイツらを倒すのが目的だったわ。


「もう〜。有澄くんは忘れんぼさんですね〜」


そう言うと、海奈さんは魔法陣のようなものを出現させた。


そこには―――――。


「なんですかコレ?」

「私、星奈、お姉様、全神未到を印したものです。言ってしまえば相関図ですね」


なんか記号みたいな、わけわかんない文字みたいなのが書いてある。

…って全然読めねえぇぇぇぇ!


ので、全てを見通す神眼〈プロビデンス・アイ〉で解読してみる。


わかりやすく言うと、グー○ル翻訳だね。

チート能力が雑魚扱いされるなら、戦いじゃなくてこういうので使えばいいじゃん。


…よし、解読できた。

文面を強制的に日本語に変換させる。





          照

       万     葬

          王  

      灰   龍   怠

         星 海

       滅     阿

          淫



                                                                                                          


よくわかんない文字みたいのは、漢字に変換された。

これが全神未到の名を表してるなら…。


多分、一番下の「淫」がシコエロン。

…これ漢字ですら完全にアウトじゃん。


「滅」はメッソウモナイ。

「灰」がカイジンニキス。

「阿」は海奈さんが言ってたバカアホウってやつかな?

あと4つは知らんけど。


んで中の「海」が海奈さん。

隣の「星」が星奈。

「王」は帝王。

だと思うんだよねぇ…。


あれ、この真ん中の「龍」ってなんだろ?


「あの、海奈さんこのりゅ・・・ん?」


海奈さんに龍のことを聞こうと振り向くと…。


「ちーん」

「ちーん」


リンちゃんとキラリンの魂が抜けてた。


「難しい漢字ばっかりでよく分かんない…」


「日本語で書いてくれワン…意味不明な言葉が意味不明な言葉になっただけだワン…」


そうだった!

リンちゃんは一見頭良さそうに見えるけど、実は超絶バカなんだった!


高校の時とか、全教科赤点どころか全教科0点という記録を叩き出したこともあったからね。


キラリンは……うん。バカなのは想定内だね。

てかこれ漢字だから!

中国発祥だけど一応日本語だから!


2人は頭がパンクして行動不能。

てなわけで…。


「今日もパーティ活動はお休みです!」

「そうね~」

「そうですね~」


「それがいいよ~」


「「「!?」」」


あれ?

2人フリーズしてるのに台詞4人分っておかしくね?


声の方を向くと、ダサい部屋着を着たズボラな女がウチのソファに寝そべってた。


「誰ぇ〜?」




― 第25話に続く ―











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