第26話 親友止まりぃ?

「リンちゃん?どうしたの?」

「ちょっと目が冴えちゃった。アーくんは?」

「キラリンの足が臭すぎるから避難してきた」

「そうなんだ」


「…」

「…」


いや、何この沈黙!?

いつものリンちゃんなら―――


………………………………………………………


「アーくん、おはよー!」


「おはよう…」


「どうしたの?元気ないけど」


「昨日、魔法少女のアニメを観てたんだ」


「魔法少女?」


「昨日の放送回で推しのキャラが死んじゃったんだよぉぉぉぉ!」


「アーくん…」


「もう駄目、生きる気力ない…」


「魔法少女って美少女系?アーくん美少女に飢えてるの?欲求不満なの?」


「リンちゃん!?傷口に塩塗るのヤメて!?」


こんなふうに爆弾発言をかましてくるのに…


………………………………………………………


「アーくん、あたし不安なの」

「不安?何かあった?」

リンちゃんも悩み事があるのかな?


「あたしとアーくんって昔からいつも一緒にいたでしょ?」

「幼馴染だからね。家族みたいなもんだよ」


お互いの両親からは、「いつなら一緒にいないんだ?」とか言われたこともあったっけ。


「でも、アーくんにとって海奈さんとキラリンも家族なんだよね?」

「居候だけどね」

すると、リンちゃんは藪からスティックな発言をした。


「ねぇアーくん、これからもあたしと一緒にいてくれるよね?」

「当たり前でしょ。何が不安なの?」


「あたしにとってアーくんは家族同然なの。今までずっと一緒にいた一番大切な存在。でも今のアーくんには海奈さんがいる。でもあたしにはアーくんしかいない。そしたらアーくんがあたしから離れて行っちゃうような気がして怖くなっちゃった」


なるほどね、そういうこと。

「安心してよ。俺はリンちゃんとずっと一緒にいるよ」

「本当に…?」


「本当さ。だって俺たちは最強の絆で結ばれた幼馴染。永遠の親友だからね!」

「親友……親友止まりぃ?(`Д´)プクー」


リンちゃんが不機嫌そうな顔をした。

頬を膨らませてる。

かわいい。


「どうかしたの?」

「なんでもない!おやすみ!」


リンちゃんは怒って出ていってしまった。

俺なんか悪いこと言った?


俺はそのままテレビを観て、一晩過ごした。


「深夜番組って如何わしいのばっかだなぁ」




― 第27話に続く ―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る