第29話 不法侵入じゃん!

「誰ぇ〜?」


なに?この女?

外見は…アラサーくらいかな?

ふにゃふにゃした喋り方に、ボサボサの髪、ヨレヨレの服を着ている。

てか白Tシャツ1枚じゃん。


なんだろう、だらしないのにエロい!

服がビロンビロンに伸びてるから肩とか胸元とかはだけてるし、太もも露出しまくってる!


はっきり言って最高だよこのオバさん!


…ん?

彼女が着てる服をよく見てみると…


「それはまさか…負けTシャツ!?」


そのTシャツにでかでかと「従ったら負け」と書いてあった。


それは俺が愛用している、働いたら負けパーカーとよく似ていた。

てか今着てた。


「ん〜?君はこの服に興味があるの〜?」

「だってそんな服着てるってことは君も社畜ってことでしょ!?」


「社畜?んー、ちょっと違うかな。君たち人間みたいに会社で働くとかじゃないから」

「あー、そうなんだ…」


ん?

なんか忘れてるような…

あ。


「アンタ不法侵入じゃん!」

「今更!?」

「今更ですかっ!?」


危ねぇー、服のせいで共感するとこだった。


「誰なの!?どっから入ってきたのぉ!?」

「まぁまぁアーくん、落ち着いて」

だからなんで姉ちゃんは落ち着いてられんの?


「じぃーっ…」

海奈さんは彼女を凝視する。

「あれ?もしかしてあなたは…?」

「あ、気付いたー?」


「ウチは全神未到の一到、クズゴミンだよ〜」

「クズゴミンだぁ〜?」


なにそのひっでぇ名前。

なんで全神未到ってそんな変な名前の奴ばっかなの?


いや、そんなことより!

「なんで全神未到がここに?カイジンニキスと同じで海奈さんが狙い?」


「んー?違うよ?君たちとは戦いたくないし」

「戦いたくない?」

「うん、全神未到が君たちにやられまくってるのは知ってるから。ウチが勝てるなんて思ってないよ」


「それなら、なんで来たの?」

「姫を倒すんでしょ?ウチも協力してあげる。暇だし」


「「「え?」」」

またもシンクロツッコミ。


「全神未到は姫の取り巻きじゃなかったの?」

「そうなんだけどぉ、ぶっちゃけめんどくさいんだよね〜」


それからクズゴミンは、姫への不満をぶちまけまくった。


「あの姫とかいうやつ、ウチとは好み全然合わないんだよね〜。ウチはなんもしないでダラダラしてたいのに、アイツはウチらを好き勝手こき使うしさ〜。従ってるの馬鹿らしいから逃げてきちゃった☆」


なるほど、だから従ったら負けTシャツ着てたんだ。


「俺はいいけど、海奈さんが…」

海奈さんは全神未到を倒そうとしてるみたいだし、そんな簡単に仲間にはしないでしょ。


「クズゴミン!あなたは姫の敵!つまり私たちの味方ですね!仲間に引き入れましょう!」


あっさり仲間にしたー!




― 第30話に続く ―

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