第21話 雑魚すぎる能力だな

「行きますよ。お姉様」

「行くよ!王奈お姉ちゃん!」

私と星奈は無限に大剣を顕現させ、お姉様に向けて一斉に放出しました。

剣の大群がお姉様を突き刺します。


「なんて脆い剣だ」

お姉様に触れた剣は悉く砕け散っていました。


「やっぱり王奈お姉ちゃんは強いね」

「このくらいは想定内ですが」

剣撃は無意味ですか。

ではこうしましょう。


「次は私の剣を受けてみろ」

お姉様も大剣を顕現させますが―――

「させません」

私は両目を開眼し、その力を解放します。


ドサッ。

お姉様は何の前触れもなく倒れ、全く動かなくなりました。

「え?お姉ちゃん何をしたの?」

「葬りました。私たちの勝利です」


「その眼の力で?」

「はい。この眼は見たものを絶対に葬ります。破滅や必殺の力とは格が違います」


「それ、何が違うの?」

「自分で言うのもなんですが私が強いだけだと思ってください」

「そういうもんなんだね」


さて、終わりですね。

「さようなら、お姉様」

「誰に別れを告げている?」

「「!?」」


お姉様は何事もなかったかのように仁王立ちしていました。

「そんな!?この眼は不老不死、不朽不滅、全知全能、死すらも葬るというのに!」


「しかし、こんなものを受けたのも初めてだ。海奈、これは何だ?」

「死を葬る眼。遠い未来を見た結果、こういったものはチート能力と呼ばれるようです」

「チート能力?フハハハハ!そうか。私も知っているぞ。我々には雑魚すぎる能力だな」


「雑魚すぎる?」

「あぁ、ふと気になって私もチート能力とやらを掌握してみたが、時空操作、多次元結界、万物創造、悉くを滅ぼす、全知全能などのくだらないものばかりだった」


チート能力が雑魚すぎるなら、単純な力でねじ伏せるだけです。

私は掌に全身全霊を込めて一気に解き放ちました。

これだけで全世界・全宇宙・未知なる異界・全ての神々・全神未到を葬る力があります。


しかし―――

「そんな、これでも…!?」

「ほう、悪くないな」

指一本で受け止めていました。


「私を倒したいのだろう?ならば本気で来い。お前はまだ本気を出しきっていな…ん?」

突如、お姉様の片目が爆ぜ、消し飛びました。


「私を忘れてもらっちゃ困るんだけどなぁ」

「やるではないか、星奈」

どうやら、星奈の眼がお姉様の眼を討ち破ったようです。


「だが、ここまでだ」

お姉様は私たちを一瞥し―――

「ガハッ!」

「グフッ!」

私たちは血を吐いていました。

「一体…何が…」




― 第22話に続く ―

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