第15話 私たちの勝ちだね

今までの俺は完全に俺YOEEEEだった。

でも、今は違う。

目の前のカイジンニキスを倒す。

それだけだ。


「テメェは許さねぇ!くたばりやがれぇ!」

「もう理性を保ってないね」


奴は俺に飛びかかり、顔に爆破を打ち込もうとする。

「愚かなものだね」

俺は奴の顔を一発殴りつける。


「ガハァッ!」

天高く吹っ飛ばし、地に叩き落とす。


「降参するかい?」

「調子に乗るんじゃねぇっ!」

来るね。最大級の一撃。

「これで終わりだ。神薙有澄」


あ、放ってきた。

でも、やっぱこんなもんか。

「有澄、君ならできるよね?」

「もちろんだよ」


さっき開眼した左眼から青い光を解放する。

その光で奴を爆破ごと飲み込む。

奴の身体が、灰燼に帰して散っていく。


「消え失せろ」

「があぁぁぁ!このアタシがぁ!テメェごときにぃぃぃ…」


カイジンニキスは消え失せた。

メッソウモナイ討伐の時と同じように、同時に支配領域も崩壊した。


―――――――――――――――――――――


俺はあの子と会った真っ白な場所にいた。

てか、姿も戻ってる。

あの子は…いた。


「私たちの勝ちだね」

「ありがとう。君のおかげで助かったよ」

「助けるのは当たり前。君がいなくなると私が困るからね」

ん?君が困るの?


「そういえば、ここは俺と君の心の中なんだよね?」


「そうだよ。厳密には君の中に私がいるって言った方がいいかな」


俺の中にいる?


「君は誰?海奈さんとはどういう関係なの?」

なぜか俺の名前も知ってたし。


「んー、そうだねぇ。私のことは海奈ちゃんから直接聞いて」


自分では言いたくないのかな?

それは別にいいんだけど。


「それじゃ、ここで一旦お別れだね。困ったらいつでも呼んでくれていいから」

そう言って彼女は歩き出す。


「あっ待って!君、名前は?」

「あ、そうだったね。私の名前は…星奈だよ」


「星奈…」

「うん!有澄〜またね〜!」

彼女は手を振る。

俺も手を振り返す。


結局なんだったんだろうあの子。

俺の中にいるってどういうこと?

それにめちゃくちゃ強かった。


海奈さんのことも知ってるみたいだったし、帰ったら海奈さんに聞いてみるか。


その瞬間、俺の視界は光に包まれた。




― 第16話に続く ―






〈 作中用語 〉

「 全神未到 」・・・普通の人間には存在すら確認されていない、神々を超越した存在。

数え方はとりあえず、「到」ってことにしてる。

全部で八到おり、現在判明しているのは、「シコエロン・メッソウモナイ・バカアホン・カイジンニキス」の四到。

どうやら、海奈とは敵対しているようで…?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る