第14話 ごめんごめん、くしゃみ出ちゃったよ☆

…ん?ここどこ?

なんか真っ暗で何も見えないんだけど。


そういえば、カイジンニキスにトドメをさされたんだっけ。

…てことは俺はもうやられたんだね。


ここがどこか分かんないけど、もう皆には会えないんだし、考えたってしょうがないか。


「………」


おや?

そこにしばらくいると、向こうから微かに声が聞こえる。

とりあえずその声のする方へ行ってみる。


「光だ!」


真っ暗な闇の中に一筋の光が差し込んでいた。


「来て…」


やっぱりここから声がする。

それになんか…呼んでる?

その光に手を伸ばしてみる。


「…んぉ?うおぉぉぉっ!?」


すると、俺はその光に吸い込まれた。

そこは、さっきまでいた真っ暗とは違い、真っ白な光景が広がっていた。


「来てくれたんだね」


さっき聞こえた声と同じ声が聞こえる。

声のする方を向くと、1人の少女らしき人物が立っていた。

見た目は…中学生くらいかな?


青いサラサラの長髪に、澄んだ水色の瞳に、幼く端正な顔立ちをしている。

というか、よく見ると海奈さんに似てない?


あ。でも体つきは貧相だね。

なんならキラリンに匹敵するほどの貧乳だね。


「どこ見てるの?」

「うわぁぁぁぁっ!?」


ヤバ、見てるのバレた?


「分かりやすいねぇ…君は。私と海奈ちゃんの体つき見比べたでしょ」


そこまで分かっちゃうの!?

…ん?


「海奈さんのこと知ってるの?」


「当たり前だよ。だって海奈ちゃんは―――、

ぶぇっくしょいぃ!…ごめんごめん、くしゃみ出ちゃったよ☆」


なーんでちょうど気になるとこでくしゃみ出ちゃうのかなぁ?


「それで?ここはどこなんだい?」

「ここはね…私の中の世界。そこに君を引きずり込んだの」


「引きずり込んだ?さっき俺は灰燼に帰されたはずなんだけど?」

「それはありえないよ。だって私がいるから」


私がいる?

その言い方だとこの子がいる限り、俺は最強みたいになっちゃわない?


「ここを出るにはどうすればいいの?」

「出たいの?ここでずっと私といればいいのに」


「それは駄目だよ。海奈さんも、パーティーメンバーもいるんだから」

「君は海奈ちゃんが大切なんだね」


彼女は嬉しそうな顔をして言った。


「勝手に家までついてきた挙句、いっつも振り回されてばっかだけどね」


ホントになんで海奈さんは俺についてきたんだろうね?


「いいよ!私と一緒に行こう!ハイ!」

「え?」


突然、彼女は手のひらを出してきた。

なにこれ?ハイタッチ?


「私と手、合わせて!」


彼女に促され、とりあえず手を合わせる。

すると、俺たちの手の間から凄まじい青い光が放たれる。

やがて、その光は俺たちを包み込み―――――



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



灰燼に帰した世界に戻ってきた。

そこにはやっぱりカイジンニキスがいた。


「…チッ!死んだくせに戻ってきやがったか…ってテメェなんだその姿は!?」


え?俺の姿?

とりあえず全てを見通す神眼プロビデンス・アイで自分の姿を確認してみる。

すると…。


「…はあぁぁぁぁぁぁっ!?」


誰だよコイツゥゥゥゥゥゥ!?

女になっとるやん俺ェェェ!


全てを見通す神眼プロビデンス・アイに映し出された俺の姿は目を疑うものだった。

黒と青のメッシュみたいなロングヘアに、女の子みたいな顔立ち。

…自分で言うのもなんだけど、めちゃくちゃ可愛いな、俺。


そして、女の子っぽい顔してる割にぺったんこな胸とお尻。

まるで俺とあの子を合わせたような見た目。


…でも、なんかめちゃくちゃ強くなってるような感じがする。

なんとなくわかる。

今の俺は…TUEEEEEEEE!!!


「…だが、ちっと姿が変わったくらいじゃアタシには勝てねぇよ!」


「その自信、ぶっ壊してあげるよ」


「誰の胸と尻がぺったんこですって〜💢!?」




― 第15話に続く ―

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