第13話 来てくれたんだ

ん?ここどこ?

真っ暗で何も見えない。


そういえば、カイジンニキスにトドメをさされたんだっけ。

てことは俺はもうやられたんだ。


ここがどこか分かんないけど、もう皆には会えないんだし、考えたってしょうがないか。


おや?

そこにしばらくいると、向こうから微かに声が聞こえる。

その声のする方へ行ってみる。


「光だ!」

真っ暗の中に光が差し込んでいた。

「来テ…」

やっぱりここから声がする。

それになんか…呼んでる?

その光に手を伸ばしてみる。


すると、その光に吸い込まれた。

そこは、さっきまでいた真っ暗とは違い、真っ白な光景が広がっていた。


「来てくれたんだ」

声のする方を向くと、1人の少女らしき人物が立っていた。

見た目は中学生くらいかな?


青いサラサラの髪に、澄んだ水色の瞳に、幼く端正な顔立ちをしている。

というか、よく見ると海奈さんに似てない?


あ、でも体つきは貧相だね。

なんならキラリンに匹敵する貧乳だね。


「どこ見てるの?」

「うわぁぁぁぁっ!」

ヤバ、見てるのバレた?


「分かりやすいねぇ君は。私と海奈ちゃんの体見比べたでしょ」

そこまで分かっちゃうの!?

ん?


「海奈さんのこと知ってるの?」

「当たり前だよ。だって海奈ちゃんは―――

ヘックシュン!ごめんごめん、くしゃみ出ちゃった」

いいとこでくしゃみ出ちゃうのなんでなんだろうね?


「ここはどこなんだい?」

「ここはね、君の心の中。そこに私はいる」

「心の中?俺はやられたはずなんだけど?」

「それはありえないよ。だって私がいるから」


私がいる?

その言い方だとこの子がいる限り、俺は最強みたいになっちゃわない?


「ここを出るにはどうすればいいの?」

「出たいの?ここでずっと私といればいいのに」

「それは駄目だよ。海奈さんが、パーティーメンバーがいるんだから」


「君は海奈ちゃんが大切なんだね。」

「勝手に家までついてきた挙句、いっつも振り回されてばっかだけどね」

ホントになんで海奈さんは俺についてきたんだろう?


「いいよ、私と一緒に行こう。ハイ!」

「?」

彼女は手のひらを出してきた。


なにこれ?ハイタッチ?

「私と手、合わせて!」


彼女に促され、とりあえず手を合わせる。

すると、俺たちの手の間から凄まじい光が放たれる。

やがて、その光は俺たちを包み込み―――――


灰燼に帰した世界に戻ってきた。

そこにはやはりカイジンニキスがいた。

「チッ、仕留め損ねたか、ってなんだお前その姿!?」


俺の姿?

〈プロビデンス・アイ〉で自分の姿を確認してみる。

「はあぁぁぁぁぁぁ?」


誰だよコイツ!

女になっとるやん俺!


俺の目に映った俺の姿は目を疑うものだった。

黒と青のメッシュみたいなロングヘアに、女の子みたいな顔立ち。


女の子っぽいのにぺったんこな胸と尻。

まるで、俺とあの子を合わせたような見た目。


でも、なんか力がみなぎってくる感じがする。

なんとなくわかる。今の俺は―――――――

TUEEEEEEEE!!!


「だが、ちっと姿が変わったくらいじゃアタシには勝てねぇよ!」

「その自信、ぶち壊してあげるよ」


「誰の胸と尻がぺったんこですって〜😠!?」




― 第14話に続く ―






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