第12話 一応女の子なんだから…
ミノタウロスの角と肉を売却した後、俺たちはクエスト一覧を見ていた。
「うーん…」
海奈さんが首を傾げている。
「どうかしたんですか?」
「いえ…。メッソウモナイの討伐クエストがあったのに、他の全神未到の討伐クエストは出回っていないのかと思いまして」
あ、全神未到ってまだいるんだ。
神を超えた存在がそんなにいちゃ駄目でしょ。
「すみません。全神未到の討伐クエストってありませんか?」
海奈さんが受付嬢に問いかけた。
しかし、受付嬢からは予想外の返答が来た。
「え?全神未到…?なんですかそれ?」
どうやら受付嬢は全神未到という存在自体を知らないらしい。
…え?どゆこと?
「全神未到をご存じないのですか?」
「えぇ…。そんな言葉は聞いたこともありませんね…」
「…では、メッソウモナイという存在の情報は何処から出回ったのですか?」
受付嬢が言うにはこうらしい。
「私の聞いた話ですが、メッソウモナイは遥か昔から度々、神界を襲撃していたようで、幾千幾万もの神々が敗れ去ったという伝説が人間界に伝わったことから、人間界でも危険視する人が出てきたそうですよ」
「…そうだったのですか」
幾千幾億の神々が敗れ去ったのか。
流石、全神未到とか呼ばれてるだけあってその強さは伊達じゃないね。
でもぶっちゃけ、そんなヤツを一方的にボコボコに消し潰した海奈さんの方が圧倒的におかしいんだよね…。
「海奈さん。さっき他の全神未到って言ってましたけど、全神未到って全部でどれだけいるんですか?」
「八到ですね。ですが、実は私は人間界に来る前にすでに一到は倒しています。人間界に来てからシコエロンとメッソウモナイの二到を倒したので、あと残りは五到ですね」
五到かぁ。
意外と多いなぁ。
…ん?残り?
…ってことは全部倒す前提なの?
「…そういえば、海奈さんは全神未到を敵視してるみたいですけど、それには何か理由があるんですか?」
「それは…」
―――――――――――――――――――――
「…あれ?」
いつの間にか、俺は1人で知らない場所に飛ばされていた。
それはどことなく不気味で、なんか黒い塵みたいなものが漂っている。
「来たみてーだな」
「!?」
塵の中から、ある女が現れた。
金髪にパーマかけた感じのギャルみたいな髪型に、男勝りな目でメンチ切ってて口が悪い。
もはやギャルというかヤンキーじゃん。
「アンタ、誰?」
「いきなり悪ぃな。アタシは全神未到の一到〈カイジンニキス〉だぜ」
…てことは、海奈さんが言ってた残りの五到の内の一到か。
それにしても…。
「シコエロンと比べると随分露出が少ないね」
「シコエロン?あぁ…あの雑魚か」
「は?雑魚?シコエロンが?」
「あぁ。アイツは全神未到の中でも最弱だぜ。
つーかなんなんだよ、全神未到って。アタシらにこんなダセぇ名前付けてんじゃねぇよ。神も悪魔もネーミングセンスなさすぎだろ」
マジで?
じゃあコイツはシコエロンより強いの?
そんな奴と今から戦わなきゃいけないってこと?
「よーし!逃げるぞぉぉぉぉ!」
俺が走って逃げようとすると、カイジンニキスに後ろから呼び止められた。
「まぁ待て。別にアタシはテメェと戦うために呼んだわけじゃねえよ」
「なら、俺に何の用?」
「アタシの目的のために手伝ってくれよ」
目的…?
なんか怪しいな。
「アンタの目的って?」
「アタシの目的は果那輝海奈を回収する。ただそれだけだ」
海奈さんを…回収する?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
有澄が突如何処かに消えてしまい、海奈、凜華、キラリンの3人は非常に困惑していた。
「アーくんがいきなり消えちゃった!どこ行っちゃったの!?」
「落ち着くワン!きっとまたウ◯コだワン!」
「キラリン、一応女の子なんだから…」
「一応ってなんだワン!?余はれっきとした女の子だワン!」
そんな中、海奈だけは嫌な予感がしていた。
「これは…全神未到の予感がします。まさか…有澄くんが全神未到に…!?」
― 第13話に続く ―
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