第10話 俺は金が欲しいんだぁ!
さて、それでは俺たちの勇者パーティー。名付けて「海奈さんの魔法使いパーティー」の活動を始めるとしますか!
今日の活動内容は ―――!
…特になにもない。
毎日リンちゃんが家に来て遊んでるだけ。
勇者パーティーとか言ってるけど、実質遊びのイツメン。
お金はあんまり稼いでない。
てか別に稼がなくてもいいんだよね。
何故なら…以前俺が達成したクエストの報酬金がたんまりあるから!
ちなみに俺が今まで倒した相手を挙げると…。
↓
大魔王サイオウガウマ
機構魔獣バハムート
聖剣天使ホーリーソード
破壊神ドホウガカイ
邪神アクセンクトウ
守護鬼神千手阿修羅
最高神シュライン
終末を宣告する神ジ・エンド
神滅竜王フキュウフメツ
盲目白痴の魔神王アザトース
こんなもんかなぁ?
コイツらを倒した報酬金の合計額は100万円超えてるから、一ヶ月くらいは全然仕事しなくても問題ない。
まぁ本音を言うと、300万円くらいは欲しかったよ…(;´д`)トホホ…。
てかコイツら相手なら、俺のチート能力で無双できたっていうのに、それが全く無意味だった〈全神未到〉って奴らマジでなんなんだよ…。
「有澄、パーティーって何するんだワン?」
「今はギルドの依頼の仕事はあんまりないし、武器とか薬になる素材集めて、売却すればお金になると思うよ」
「わかったワン!早速素材売却だワン!」
― 1時間後 ―
「有澄、どうだワン!素材売却だけで100万コインも稼いでやったワン!」
「へぇ…。そりゃすごいね。でもこれ…ゲームの話じゃん!現実で稼げぇぇぇぇ!俺は金が欲しいんだぁぁぁぁ!」
キラリンがソシャゲで100万コインを稼いで俺に見せつけてきた。
ゲームでお金が貯まる度に、現実での金欠が悲しくなってくるのは俺だけかなぁ…?
「ねぇ…アーくんはどうしてそんなにお金が欲しいの?」
「億万長者になって、ぐーたらなニート生活を満喫したいじゃん?」
「クズだワン」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
…というわけで、素材採集のため、異世界を探索しに来ました。
そして現在、採集スポットの山に来てます。
山とは言っても、火山と雪山が合わさったようなカオスな山。
その名も“カオス山”。
…そのまんまだね。
カオス山を牛耳っている山の主から取れる素材が高く売れるという情報を聞いたので、取りに行くことにした。
「なんか…暑いのに寒いワン…」
「あ、あたし…暑いのも寒いのも苦手なんだよね…」
「涼しくてあったかいです!」
「よーし!早く主を倒して、素材を持ち帰るぞぉー!えいえいおー!」
「えいえいおー!です!」
「えいえいおー…ワン」
「えいぇ…」
ドサッ。
あ、リンちゃんが倒れた。
寒さと暑さが同時に来たからかな。
「リンちゃーん!」
「凜華ちゃーん!」
「凜華!まだ死ぬなワン!生きてくれワン!」
大丈夫、魔法使いはそのくらいじゃ死なないから!
「よーし!応急処置だワン!」
キラリンがAEDを持ってきた。
どこにあったの、そんなの?
「心臓マッサージだワン!」
キラリンが、気絶してるリンちゃんの心臓マッサージを始めた。
「!?」
…と思ったら突然キラリンが驚いた顔をして、手を止めた。
「どうしたの?」
「なにかあったんですか?」
「凜華…余よりおっぱい大きいワン…」
「「あ」」
俺と海奈さんのツッコミがシンクロする。
「貧乳仲間だと思ってたのに!裏切り者かワーン!」
キラリンはリンちゃんの胸を叩いたり、揉みまくったりした。
その衝撃で大地は叩き割られ、山全体が崩れ落ちていく。
すると、山の中から巨大な何かが姿を現した。
ゴゴゴゴ…!
「…お出ましかワン」
「あれが主のようですね」
― 第11話に続く ―
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