第9話 あたしたちのパーティ結成だね!
キラリンが家に来てから今日で3日。
キラリンと住むということは、それなりに悪い予感がしてたけど、それは見事に的中した。
なんなら予想以上だった。
「余は腹ペコだワン!ヒマワリの種をもっとよこせワーン!」
キラリンのドタバタ走る音が響き渡る。
「うるせぇぇぇぇぇぇ!」
「まぁまぁ、アーくん。朝からそんなに怒らなくてもいいじゃない」
なんで姉ちゃんそんな落ち着いていられるの?
そう、キラリンはめちゃくちゃ騒がしい。
そして走り回るから、たまに家が壊れることもある。
家の壁を引っ掻いて八つ裂きにしたり、パンチして穴開けたりは日常茶飯事。
その度に、回復魔法や時間逆行魔法を使う羽目になっている。
「有澄くん、有沙さん、キラリン、朝ご飯できましたよー!」
今日も海奈さんが朝食を作ってくれた。
今日のメニューはベーコンエッグ。
キラリンだけヒマワリの種とベーコンのバター炒め。
キラリン、ヒマワリの種以外も食べるんだ…。
ピンポーン。
その時、インターホンが鳴った。
「アーくん!おっはよー!今日もキラリンで遊ばせて!」
リンちゃんが遊びに来た。
リンちゃんにキラリンを紹介した時、最初は驚いてたけど、よく分かんない女子トークですぐ仲良くなったみたい。
てか、キラリンで遊ばせてって言ってたよね?
リンちゃん、キラリンのこと遊び道具だと思ってるの?
「あ、凜華!来てくれたんだワン!」
「当たり前だよ!あたし達友達だもん!」
遊ばせてとか言ってた人が何言ってんだか。
「そういえばキラリンもギルド所属みたいだけど何の役職なの?」
「余は魔法戦士だワン!」
「魔法戦士?ならちょうどいいね。」
「ちょうどいい?どういうことワン?」
「俺は勇者。リンちゃんは魔法使い。キラリンは戦士。これ何か気づくことない?」
すると、姉ちゃんがこんなことを言った。
「まさか、ハーレム!?もう、アーくんってばエッチ!」
「ちがーう!なんでそうなるの!?」
「え?違うの?あ、そうだね。その中にお姉ちゃん入ってないもんね!」
あ、そういう話?
「そうじゃなくて!俺たちでパーティーを組もうって話!」
「パーティーだワン?」
「あたしたちで?」
「私が入ってないじゃないですか!」
海奈さんがツッコんだ。
だってあなた、1人でも最強でしょ。
別にパーティー組む必要なくない?
「嫌ですー!私も有澄くんのパーティに入れてくださーい!」
海奈さんは、不機嫌なクソガキのように、寝転んで足をバタバタさせた。
見た目お姉さんなのに、中身クソガキってなんかギャップでそそられますね…。
…ん?待てよ?
海奈さんがいれば、この先どんな敵が現れようと余裕なんじゃね?
全部海奈さんTUEEEで完結しちゃうんじゃね?
「はい!もちろん海奈さんもパーティメンバーです!」
「やったー!メンバーになれましたー!」
「アーくんがパーティー作るなんてお姉ちゃん感激!」
「あたしたちのパーティー結成だね!」
「楽しみだワン!」
何がともあれ、これからこのパーティーで頑張っていきますか。
「それで有澄くん、パーティー名はどうするんですか?」
「フフフ…そのセリフを待っていました」
パーティー名を付けるのに、ネーミングセンスは非常に重要。
カッコつけた挙句、かえってダサい名前になるパターンも少なくない。
今こそ俺のネーミングセンス見せてあげよう!
「パーティー名は… 有澄くんのスーパーハイパーアルティメットウルトラミラクルパーティーにしたいと思います!」
「…」
「…」
「…」
「…」
あれ?
なんかシーンってなっちゃってない?
「アーくん…」
「だせぇワン…」
なにぃ!?馬鹿な!?
俺のネーミングセンスは完璧だったはず!?
「じゃあ、海奈さん達もアイデアお願いしますよ!」
「はい!海奈さんのラブリー♡ホテル教室、とかどうでしょう?」
なんですかそのライン越えちゃいそうな名前。
「リンちゃんの脳筋魔法使い軍団がいいんじゃない?」
脳筋はいらなかったなー!
「超絶かわいいキラリン様を崇める会がいいワン!」
死んでも却下だね。
結局、皆がそれぞれ考えた名前を組み合わることにした。
その結果、パーティー名は…。
「海奈さんの魔法使いパーティー」
に決定した。
「余のアイデアが全く入ってないワーン!!」
― 第10話に続く ―
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