第5話 出口どこぉー!?
〈前回のあらすじ〉
〈全神未到〉の一到メッソウモナイの身体をバラバラに切り裂いた海奈さん。このまま俺たちの勝利と思われたその時!奴はパワーアップでもしたのかよく分かんないけど、目が光ってなんかヤバいことになってる。
―――――――――――――――――――――
「ヒィッ!?無理無理無理!あたし帰る!」
あ、リンちゃんが逃げた。どこへ行こうというのかね。
「で、出口どこぉー!?」
そして、一人で勝手に迷ってる。
そんなこと思ってるうちに、大鎌はさらに巨大化し、とてつもない力が込められる。さっきより強力な一撃が来そう。
「海奈さん、助けてくださぁ〜い」
「有澄くんってば、しょうがないですね〜」
俺のダサい懇願も聞き入れくれる海奈さん。
俺が頼めば何でもやってくれるんじゃないの、この人。
「私も鎌で応戦しましょうか」
そう言ってた海奈さんは鎌を顕現させた。
あれ?やけに小さいな。
ってこれ草刈り用のやつじゃん!
「くたばれ」
メッソウモナイは勢いよく鎌を振り下ろす。すごい力だ。にもかかわらず、海奈さんは草刈り用の鎌で奴の鎌を一方的にへし折り、首ごと切り落とした。まじか。
メッソウモナイの首から下は地に倒れ伏し、完全に消失した。
「おのれ、許さぬっ…!」
首だけになった奴は怒りの表情を浮かべる。瞳の赤い光が輝きを増し、目が血走っていた。目全体が真っ赤に見えて怖い。あと、生首で喋るのも怖いからヤメて。
「首だけになったのにまだ懲りませんか」
奴が開眼すると、辺り一面も真っ赤に染まる。あれ、さっきの斬撃よりヤバくない?
「俺の瞳に映ったことを後悔するがいい」
「にらめっこのつもりですか?」
奴と海奈さんの目が合った途端、奴の顔が砕け散り、跡形もなく消し飛んだ。
海奈さん、流石です。
「結局この程度ですか」
最後の言葉くらい言わせてあげて。
メッソウモナイが討たれたことにより、奴の支配領域も崩壊し、俺たちは人間界に帰ることができた。
「え、何が起こったの?どうやってあんなやつ倒したの?」
リンちゃんは海奈さんのあまりの強さに呆然としていた。俺と同じ反応だね。
「まぁ帰ってこれたんだし、いいんじゃない」
それより、こんな偉業を成し遂げたんだから、この報酬だけで億万長者間違いなしだね。
よし、受付嬢に報告に行こう!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「報酬はヒマワリの種1年分で〜す」
は?ふざけんな現金よこせや。俺たちはハムスターじゃねぇんだぞ。
てか、これ何に使うの?こんなの食って1年過ごせと?ハムスターになれと?
「こんなの貰っても困るよ!」
いいぞ、リンちゃん言ってやって!
「あたしの家、こんなにヒマワリ育てられるほどの敷地ないから!」
そっちかよ!
「なるほど、ヒマワリの種を食べ続けることでハムスター精神を鍛えるんですね!」
海奈さん、天然かよ!
てか、ハムスター精神って何!?
「え、現金もらえないの?」
「すみませ〜ん、ギルドは今赤字なので現金は支給できないんでぇ〜す」
なんだこの受付嬢クソうざいな。
「そこをなんとか!」
「御免御免(*ノω・*)テヘ」
クソ受付嬢の渾身の煽り顔にブチ切れた俺は遂に叫んでしまった。
「クソがぁぁぁぁぁぁ!」
― 第6話に続く ―
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