第4話 私が瞬殺してあげますから!
さて、俺たちの職場である冒険者ギルドに到着しました。
ギルドといっても、異世界ファンタジーにあるような酒場みたいな場所ではなく、一面がガラス張りで頂上に電波塔みたいなのが建ってる、近代的な高層ビルみたいな超デカい建物。
ここでは一般人が依頼したクエストを受注し、達成できたら報酬がもらえるという仕組み。
主な業務内容は、ダンジョン攻略、人間界に攻め入る敵を迎撃、武器の素材の採集・採掘などがある。
やっぱ依頼全然来てないなぁ…。
あれ?海奈さんはどこ行ったの?
「有澄くーん!凜華ちゃーん!」
海奈さんが嬉しそうな顔で戻ってきた。
どうしたんだろう?
「どこ行ってたんですか?」
「ちょっとあっちに行ってきました!」
「あっち…って受付ですか?」
「はい!」
すると海奈さんは、ギルドメンバーの証であるギルドカードを見せてきた。
ということは……。
「じゃーん!見てください!私も冒険者ギルドに登録してきました!これで私も2人の仲間入りですよ!」
仕事が早すぎる…。
「これで私と有澄くんで共働きすればガッポガッポですね!」
…それ、夫婦に使う言葉じゃない?
「でも、今はほとんど仕事ありませんよ?」
「それなんですけどね、実はさっき受付嬢の方が“シークレットクエスト”があると教えてくれたんですよ!」
「シークレットクエスト…?そんなのがあるんですか?」
「はい!なんと他のギルドメンバーは誰一人として知らない極秘のクエストだそうですよ!」
「極秘!?どんなクエストなんですか?」
「全神未到の一到である〈メッソウモナイ〉の討伐です!」
「…はい?」
全神未到って、昨日戦ったシコエロンとかだよね?神を超えた存在なんだよね?なんでそれを討伐するクエストがギルドなんかにあるの?
おかしくな〜い?
「…というわけで!私たち3人でメッソウモナイを倒しに行きましょう!」
「え!?あたしも行くんですか!?」
当然のように俺もクエストに誘われた。
…んで、なんかついでにリンちゃんも連れて行かれるみたい。
全く…海奈さんには振り回されてばっかだよ。
―――――――――――――――――――――
「それじゃ…いきますよー!」
はぁー…。行きたくねぇー…。
海奈さんに無理矢理クエストに連れてこられた俺とリンちゃんの気分は完全に無気力と化していた。
だって俺は昨日、全神未到の一到であるシコエロンにぶちのめされて、全神未到がどんだけ恐ろしいかを思い知っちゃったもん!
ちなみに、そのことをリンちゃんに話したら一気に青ざめてた。
特に海奈さんの強さにはドン引きだった。
…てか、展開が早すぎない?
最初のバトルから次のバトルに行くまでの話が短すぎない?
ストーリーのテンポが早すぎでしょ…。
いきなり姉ちゃんとリンちゃんという新キャラ登場させたくせに、いきなりバトル展開突入とかふざけてんの?
作者の野郎、頭おかしいの?
「ご安心ください!2人がピンチになることはありません!私が瞬殺してあげますから!」
サラッと怖いこと言うのやめて!?
まぁでも、海奈さんなら余裕で殺っちゃいそうだよね…。
「超絶異界転移!」
海奈さんがそう言った瞬間、俺たちは未知の場所にいた。
なんとも名状しがたい、森羅万象のような一切虚無のような。
まるで矛盾が矛盾してない場所。
「ここはどこなんですか?」
「メッソウモナイが住む未開の支配域です。ここには最上級の神々ですら一度も立ち入ったことはありません」
ここにそのメッソウモナイって奴がいるの?
見た感じ誰もいないんだけど…。
「獲物は3匹だな」
「「!?」」
誰かがいる?
声が聞こえるけど姿は見えない。
俺は、
もしかして…実体がない?
「実体がない…と思うか?」
「「!?」」
背後から声が聞こえる。
咄嗟に振り向くと、そこには黒髪と金髪のメッシュに赤色の瞳に鋭い目つきをした長身の男が立っていた。
こいつが…メッソウモナイ?
「な、なんで!?
「簡単なことだ。貴様のその眼の力では俺の姿を捉えることができなかっただけのことだ」
やっぱりこいつらにはチート能力そのものが雑魚扱いされるのか。
「あなたがメッソウモナイですね?」
「なんだ、知っていて来たのか?愚か者だな」
「当然です。あなたを倒すために来たのですから」
「俺を倒すだと…?フッ…面白い冗談だな」
奴は嘲笑し、巨大な鎌を顕現させた。
「どこまでやれるか見せてもらおう」
すると、リンちゃんが俺と海奈さんの後ろに隠れてなんか言ってた。
「ねぇ…、こいつヤバいよ…。やっぱり帰ろうよぉ…」
リンちゃん、俺もそうしたいよ。したいんだけど…。
「俺から逃げられると思うか?」
無理なんです。
「では…ゆくぞ!」
「来なくていいよ!」
― 第5話に続く ―
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