第2話
「久しぶりだね」
目を開けた瞬間、懐かしい笑顔が視界に飛び込んできた。向日葵のような黄色いワンピースの裾と共に茶色を帯びたロングを髪を揺らす姿は、去年と変わり映えしない。
今年も出会えたことに、そして変わらない彼女の姿に、僕は微笑みを浮かべた。
「久しぶり、だな」
人気が無くなった交差点の中央で、僕ら3人と
「やっぱ変わらないねー!」
我慢しきれないといった様子で結菜は葵葉に抱きつく。うわっと驚いた彼女は少し照れくさそうでもあった。
「結菜は身長がまた高くなったんじゃない?」
「えっ、やっぱそうなの?周りからは何にも言われないんだけどなあ」
「一年ぶりだからよく分かるよ」
ふふっと笑った視線は僕らの方に向く。
「2人も、来てくれてありがとう。何年も経つのに、みんなは必ず『今日』空いに来てくれるよね」
「あったりまえだろ」
奏太は当然だと言わんばかりに強く言い放つ。
「俺らは何年経とうが仲間だよ。なっ?」
「ああ、そうだ」
「ふふっ。みんな優しいな」
葵葉は本当に嬉しそうだった。またここに来れて良かったと、僕も心の底から喜びが込み上げてくる。
「それじゃあ、いつもみたいに聞かせてよ。みんなの話」
葵葉の申し出に、断るものは誰もいない。
太陽はまだ真上で僕らを見ている。真っ青に澄んでいる空は、どこまでも続いているように思えた。それが僕らの絆だと、都合がいいかもしれないけれど、そう信じたい。
「じゃあ私から話そう!」
嬉々として手を挙げる結菜。人間3人と、幽霊1人。側から見れば奇妙な関係は、僕らだけの秘密だ。
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