第16話 失われていたイケメン

「いや別に何もついてないし…至って普通だが?」

俺が疑問をぶつけると、隆輝が呆れた声で


「だから、お前がカッコいいんだよ…」

「…………は?」

何を言っているんだこの男

もう一回スマホを覗き込む

「いやどこがだよ…」

マジでわからん

「普通に俺から見てもカッコいいぞ」

「……まじか」

てか寝癖なおしただけで陰キャからイケメンになるか普通

俺の寝癖そんなやばかったのか

まあ、普通にしてれば誰も寄ってこないだろうし大丈夫だろ

俺が普通に歩いていると

「おはよう」

「おはようございます…」

「おはようございます!」

おじさんの教師に挨拶された

いつものことなので適当に返して歩きだそうとすると

「…ん?お前朝祈か!?」

「…はい、そうですけど…。」

するとおじさんは手を俺の肩にポンッと乗せてきて

「学校にメイクはしてくるな、今だったら許してやるから。男でもしたくなるのは今の時代、別になんともいわないがここは学校だぞ

ほら、正直に話せ」

「……いやメイクじゃないですよ」

「………お前嘘はつかないほうがいいぞ」

どうしようと戸惑っているところに

「いや〜愁斗本当にメイクしてないんすよ、

なんか寝癖なおしたらすげーイケメンだったってだけで…!」

ナイス隆輝!

するとおじさんは目を丸くしてとても驚いていた

俺に対して失礼じゃないか

だがおじさんは失礼になるとかそれどころではない

なんせあのクソ陰キャがイケメンへと進化したのだから

「そ、そそそそそそそそそそそ、そうか…」

いや噛みすぎだろ

「じゃあ、そういうことで〜」

隆輝は俺の腕を引っ張っていく

「ありがとう、助かった。」

「おう、気にすんな」

そのまま教室までつくと


ガラガラガラ


「おはよう、皆!」

隆輝が声を張り上げて挨拶をする

別にいつものことだが今日は、今日だけはやめてほしかった。


「あ、おはよう篠崎くんに朝―――――」

「お、ちーっす隆輝。それと―――――」

「おはよう篠崎くん、朝―――――――」


皆揃って口をガン開く

視線は俺

くそ、やはりこうなったか

俺は視線をガン無視して席へつく――

はずだったが…


「ねぇねぇ朝祈くん、なんでいきなりそんなんになったの!?」

「ほんと、すごくかっこいいんですけど!」

「今まであんな寝癖陰キャだったのに!!」

ん?悪口はいったぞ

「いや、寝癖なおしたついでに少し髪を整えたというか……てか誰か悪口言わなかっ――

「キャー私惚れちゃうー!!」

キャー

キャー

キャー

なんか黄色い声援ならぬ黄色い視線を送られている


デゥォグォォンッッ……!


「――!?!?」

ん、なんだ今の…なんか黄色い視線じゃなくてなんかもっとドス黒い…漆黒の死線を感じたような…

死線の主を探って横を向くと……

「―――!!!!!!?????」

とてつもなく黒い笑み(比喩)を浮かべる玲夏がいた

アレは特級◯霊並の笑みだった

見たら最後………


なんか命の危機を感じた俺はみんなを適当にあしらって机に突っ伏した


「と、特級……」

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