第15話 失われていた髪セット

今日は隆輝たちと待ち合わせをしていた

俺が待ち合わせ場所へ着くと、そこには玲夏がいた。


「お、玲夏もういたのか。速いな」


俺が玲夏の方へ手を振ると、それに気づいた玲夏がこっちを見………


すぐにそっぽ向かれた

効果音をつけるとしたら

ヒョイッ

だろう

俺は振っていた手を硬直させる


…え、嫌われるようなことした?

「あ、あの〜ぅ……れ、玲夏サン…?」

「………ひいっ」

声をかけただけで驚かれた。これはどういうことだ、誰か教えてくれ。


そんなとき、脳裏に隆輝の顔が浮かぶ。

隆輝は俺の脳内でこう言っている

俺に任せとけ、と

そうか、お前ならこの窮地を救ってくれるんだな!

俺は隆輝に羅印をする


『隆輝、俺って玲夏に嫌われるようなことしたか?』

『……何言ってんだ?』

『いや、挨拶しただけなのにそっぽ向かれたから』

チラッと玲夏の方を向くと、また顔をそらされる。

『ちょっと意味わからないが…まぁ少し待て

俺もう少しで着くから』

『わかった』

俺はスマホをポケットにいれると、隆輝が来るまで気まずい時間を過ごした。



「おーっす、玲夏に愁………あ、そういうことかよ」

隆輝は俺の顔、正確には顔の少し上を見ると何か納得したような顔で俺を見てきた。

ピロン

ん、羅印がきた

隆輝からか

『原因が分かった。まぁ嫌われたわけじゃないから安心しとけ、時間が経てば解決するはずだ。』

ん、どういうことだ?

すると隆輝がやけにでかい声で

「おお愁斗、今日は髪セットしてきたんだな。」

玲夏の肩がビクッと震える

「ああ、今日はいつもより早くおきたからな

いつもあんな寝癖つけて学校行ってたと思うとちょっとヤバいよな。」

「そうか……んで、玲夏は愁斗の髪どう思うんだ?」

隆輝はニヤリと笑みを浮かべる

「………ぃ」

玲夏がなんか喋った

だが声が小さすぎて聞こえない

多分大きな声で言ったら俺が傷つくから小さめな声で言ったのだろう

ダサいんだろう?

いつも寝癖つけてる俺がちょっと早く起きたからって髪をセットしててナルシストっぽくてキモいんだろう?

でも人生で1回くらいは髪をセットしてもいいではないか

寝癖を治すついでだ

ついでなんだからいいじゃないか

「……まあ、学校行こうぜ!」

隆輝が気まずい雰囲気を壊してくれた

本当、コイツはすげぇやつだ。


愁斗、隆輝、玲夏はそれぞれいろいろなことを考えながら学校へ歩いていった。



 □  ○  ☆  ◇  ◁  ▽


「………あれ、おかしいな。」

学校へついてからの第一声がこれだった

なんかすげー見られてね?

玲夏といると、恨み妬み嫉妬の視線が飛んでくるので、玲夏は少し先に学校へ行ってもらった。

だから今歩いているのは隆輝となわけで…

何もおかしくないはずなのに、なんか視線が飛んでくる。

特に女子から

まあ恨み妬み嫉妬の視線じゃないから良かったけど…

「なぁ隆輝、俺たちなんかやらかしたのか?」

「…お前もうそろそろ気づけよ」

「えっ、やっぱり何かやらかした?」

「そうじゃねぇよ、お前そのポッケに入ってるスマホで顔見てみろよ」

訝しげに思いつつもスマホを取り出し自分の顔を見る

「…………?」


何にもわからん

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