第14話 失われていた4つ目の記憶③
「……くそ、ついにバレたか…」
俺は通話を切って、スマホを握りしめていた。
暑さだけのせいではない汗が頰を伝って地面へ落ちる
何故こんなことをしているかだって?
あ、聞いてない?
じゃあいいや
なんとなく察してくれ
自分の口からは言いたくないんだ恥ずかしい――
自分が厨二病だってバレたことが…
あ、言っちゃった。
俺は頭をフル回転させて言い訳を考える
「……うん!思いつかねぇ」
もう暑くてフワフワしてき………
「ん!?」
来た、日記出現の兆候!
プルルルル
俺は通話をかけようか少〜しだけ迷ったが皆と連絡を取るために通話ボタンを押す
「こちら終焉……じゃなくて愁斗、皆無事か…!」
『うっ…少し頭痛がしたけど大丈夫』
『俺も大丈夫だ』
「よし、お前ら見つけ出すぞ!!」
▽ ◁ ◇ ☆ ○ □
「……ここか!?」
違う
『ここだぁっ!!』
違う
『ここ!?』
違う
木の下、上に賽銭箱の裏、下に落ちているかもしれないと思い周りを見渡しても見当たらない。
体調不良を引き起こしてからもう10分が経過している
急がないと日記が消えてしまうかもしれない
「早くしないと…」
と、その時
「……っ!アレは!」
木の陰に隠れている白いなにか
あそこは探していなかった
もしかして…!
急いで駆け寄り
木の裏を覗き込む
「……あ、あった…!」
そこには日記の1ページが落ちていた
『愁斗、あったのか!?』
『見つかった!?』
「おう!」
俺は日記の1ページを持ち、高らかに天へと突き上げた。
□ ○ ☆ ◇ ◁ ▽
俺達は近くの公園で打ち上げをしていた
「んお〜これも美味いなぁ」
「そ、そう?あ、ありがとう。」
「にひにひ」
玲夏の手作りサンドウィッチを食べる愁斗、それを見て照れている玲夏に、その光景を見てにひにひとニヤけている隆輝。
とても楽しそうな光景だ
特に隆輝が
「ごくんっ…………よし、隆輝に玲夏、本題へ移るぞ。」
サンドウィッチを食べ終えた愁斗は、持っていた日記を取り出す
そしてまだ見えないように裏側にしてシートに置く
ゴクリ…
三人揃って息を呑む
公園で遊んでいる子供やそれを見守って微笑んでいる親たちとは比べ物にならない緊張感
「ふぅ〜〜……3、2、1!」
バッッ
愁斗は日記を裏返した
✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚
2020年 8月5日
昨日に引き続き作戦会議をした
今日決まったことは
失われた友達を取り戻す
そのために友達をさらったやつを見つけ出す
そのためにこの世界を旅して情報を集める
出発は明日
まずは霊上町へ行く
霊前さんも一緒についてきてくれるらしい
この世界のことを色々と知っているのでとても心強い
霊上町はここから1キロくらい離れているらしい
俊はそんなに体力ないらしいし大丈夫だろうか
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思い出した
またひとつ、失われていた記憶の霧が晴れていく
「ほんと、毎回驚くぜ…あの愁斗に引けを取らない…というか愁斗以上の陰キャが友達だったなんてな…」
そう、永條 俊は学年一の陰キャなのである
……ちなみに2位は愁斗だ
「フッ…これで俺は陰キャと言われなくて済むぜ…。」
「お前より陰キャなやつがいるからか…?
じゃあお前に厨二病の肩書をやろう」
「グゴォォッフッッッ!!!」
安心したと思ったら大ダメージをくらった
愁斗はもう言い訳できなくなってしまいましたとさ、おしまいおしまい
△ ▽ ◁ ◇ ☆ ○
『グガァァァァァゴォァァァァァ……!!!
グシャッ…グギッ…ブシャァァァー
イイヤアアアアアア!!!!……………』
「ん…朝か…」
憂鬱な月曜日が始まった
だが今日は少しウキウキしている
アラーム一回で起きられたのがその証拠だ
アレはゾンビ映画ではない
ゾンビアラームである
「俊とまた友達になれるのか…楽しみだ」
いつもより少し早く起きた俺は、そういえば友達に戻るのに寝癖ついてたら印象悪いよなと思い洗面所へ向かった。
「……うわやべー、俺いつもこんな寝癖で学校行ってたのか…」
俺は念入りに髪をチェックしてから家を出た
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