第17話 失われていた関係性

「朝祈さん、凪さんにこれ渡しておいて」

先生から渡されたのは書類

今は昼休みで、俺はまだ弁当を食べていない

「…はい」

しぶしぶ受け取ると、玲夏の机へ早足で歩いていき

「玲夏、これ先生から」

と言い早足で立ち去った

去り際に少し振り返ると玲夏はポカンとしていた


まあその時はあんなことになるとは思ってもいなかった



―――――――――


「もぐもぐ……うん、いつも通り。」

「もぐもぐ……お前いつもそれしか食ってないよな」

俺は教室の端っこの席で隆輝と弁当を食べていた

「しょうがないだろ、コンビニで一番安いのこれなんだから。」

弁当といっても自分で作ったものではなく、もちろん誰かに作ってもらったものでもなくコンビニに売ってある一番安い鮭やら卵焼きやらが入っているものであった。

「………なんかすまん、お前の家のことを忘れてた。」

一気に気まずい雰囲気になってしまった

「……気にしてねえよ、てかむしろ気まずい雰囲気になる方が気になるんだが…」

「……まあ、金欠になったらすぐ言えよ。俺が弁当買ってきてやるよ!」

「作ってくれないんだな」

「それは俺の役目じゃねぇしな」

俺の役目ではない…?

親の役目だろうか

はて、わからん

「そういえば、お前の左腕…」

「ん、ああ…か?」

隆輝の視線の先にあったのは俺のだった

「んー…それがわからないんだよな…すげーホントの腕ってかんじで動くし、特に不便でもない。」

「……やっぱり、が関係してるのか」

「そうかもな…」

日記を探す理由がまた一つ増えた

鮭をつついて骨を取り除き身の部分だけを取り出す

「そういえば俊には会えたのか?」

ふと思い出し、隆輝に質問する

あの陰キャは影が薄くてどこにいるかわからないのだ

顔も声もはっきり思い出せるのだが…

「いや………だがクラスは2組らしい。あいつは休み時間は誰とも話さないらしいから放課後だな」

「またクセの強いやつだな」

「昔はそこまででもなかったけどな」

「…皆この二年で変わったな」

「そうだな、全く…曲者揃いだな」

筋肉に厨二病(重度)、学年一の美少女に陰キャ(重度)…ここまでクセの強いグループはないだろう。

一応俺が厨二病(重度)というところは否定しておこう

重度ではない

あ、でもそれって厨二病って認めて―――



――――――――


昼休みがもうすぐ終わるので席に座ろうとするとさっきよりかなり多い女子が話しかけてきた


「ねぇ、朝祈くんさっき凪のこと玲夏って呼んだっしょ!」

「もしかして二人って……!?」

「キャー!あのクソ陰キャだった朝祈くんが〜!?」


うん、なんか一人悪口言ってくるのは何故だろう

「いや、もう昼休み終わるし席戻ろうよ…てかさっきさりげなく悪口言わなかっ――

「でっ!?どうなの!?」

「付き合ってるの!?」


……なんでこんなことに

俺は過去を振り返る




あ、俺『凪さん』じゃなくて『玲夏』って呼んでるわ

まあ否定しておくか

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