第7話 失われていた恋心

私は人を好きになったことなんてなかった。

多分これからもそうだろう


多分


――――――


キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴る

私は予習を…

その前に愁斗の顔を見ておこう

…………

なんか顔が赤くなってきた

ガラガラ

先生が入ってきた

予習はできなかった

今日はずっとこうだ

愁斗を見ていると時間を忘れてしまう

何でだろう

頭は結構いいはずなのに、何故だかわからない――


―――――――


「はぁ…やっと授業が終わった」

俺は伸びをして、それからあくびをする。

いつもよりつかれた

なぜかというと……

「何であいつずっと俺のこと見てくるんだ?俺の顔になんかついてんの?」

玲夏がずっと見てくるからであった

顔を触って確かめるがそんなことはない。

頭の良い奴はなに考えてんのかわかんないな

まぁそんなことはどうでもいい。

昨日寝るのが遅くなって今日はとても眠いんだ。

「少し寝るか」

俺は眠りについた


◇  □


      △    ▽    ◁


「朝祈、答えろ」

「……………」

「おい、朝祈、朝祈!」

「………え?」

え、どういう状況だ?

俺は寝起きの頭をフル回転させる


黒板の前に立っているのは…

眼鏡、白髪……ん?テッペンがハゲて…

あ、白石先生か

ということは…数学…?

てか、なんで授業してんだ?

今は休み時間だったはず……

俺は右の壁にある時間割を見――――


全てを理解した


アアァーッ!次の授業始まってるぅー!?

いや、なんで誰も起こしてくれなかったんだよ!!

あ、俺陰キャだからか。納得納得♪


「おい、早く答えろ」

「ん?………あ」

そういうことか!!

俺は今までただ起こされただけだと勘違いしていた。

だが本当は

「テッペンハゲの白石」は問題の答えを求めているのだ!


黒板を見る

問題は理解した

考えていると勘ぐられないように席から立つ

「はい」

そして答えはまとまった

「答えは(x+3y²)です」


クラスが静寂に包まれる


なぜだ?答えはあっているはず……あ

「すみません、間違えました。答えは

(x-3y²)でした」


再びクラスに静寂に包まれる


ん?おかしいぞ、もう一回計算して……

やはりあっている

なのに何故……

「朝祈、問題を答えろと言っているのではない。何故寝ていたのかと聞いているのだ。」

「………へぇ」

「ハアッ…もういい、座れ」

俺は席につき

寝た



――――――

「………ンンッ!?眩しっ!」

起きると、目の前には「テッペンハゲの白石」がいた。

やべぇ、眩しいとか言っちゃった。

「朝祈、職員室に来い」

白石は聞き逃していなかった。

白石はハゲなことをイジられるとチョー怖いと誰かが言ってたな…

骨の一本や二本で済むといいが、なんて思っていると

「まぁまぁ白石先生、許してあげてくださいよ。きっと夜遅くまで勉強してたんですよ」

玲夏が来た

「うん?……あー…まあ…はあ、今日のところは許してやろう。次はないぞ」

捨て台詞を言いながらギリッと睨んできた

眼鏡をしているのにものすごい迫力だった

「…玲夏、助かった!ありがとう…!」

心から感謝する

それを示すように手を合わせ、頭も少し下げる。

玲夏がいなかったら今頃……

身震いがする

「えぁっ…………う、うん…」

玲夏は俺の心からの感謝が通じたのか、声が震えている。

そして顔を赤くすると、そそくさと去っていき席に座ってしまった。

そして机に突っ伏して顔を隠している

「俺の心からの感謝でそんなに驚く?」

俺は次は寝まいと次の授業の準備をすると、アラームをセットしてから寝た。

まだ眠いからね


△  ◐  ◑


         ✭  ✪  ◇


『起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ』


授業のチャイムが鳴って静かになった教室に俺のが響き渡る

「……ん、ふわぁ…」

ポチッ

よし、今度は授業前に起きれた。

だけどなんかみんなの視線がこっちに向いているのは気のせいだろうか…


なんか微妙な雰囲気の教室に先生が入って、授業が始まる。

ちなみにこの時間は理科、そして理科教師は「魔の催眠術・杉島」である。

この教師の恐ろしいところは、その名の通り

言葉に催眠術がかけられているのかと言わんばかりに眠くなるのだ。

『1限目なのにクラスの半分が眠った』という伝説や、『クラス全員眠らせた』といった伝説もあるほどである。

とにかく催眠術師なのだ、この中年は。

だが俺には必殺がある為大丈夫である



―――――――

授業開始から30分が経った

もう既にクラスの4分の1の生徒は寝ている

いつもなら俺も夢の国へ招待されていたところだが、これ以上友達に迷惑をかけるわけには行かない。

俺は絶対に寝ない

寝ない

寝な…

…………

ハッッ!!

あぶねー、夢の国が見えた…。

この調子で大丈夫だろうか


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