第3話 失われた3つ目の記憶
週末、俺と隆輝は神社を探していた。
「お前の見つけた2ページ目は俺の見つけた1ページ目の神社から約700メートル離れている神社で見つけたのか…」
「んー……もしかしたら1ページ目のんとこの神社から離れれば離れるほどページが進むんじゃねぇか?」
「あぁ、その説はあるかもしれない。」
こいつすげー想像力だな
俺はスマホを取り出し、地図を開く
「えーっと…次に近い神社はここだな」
「よし、行くか」
俺達は家を出ると、チャリでその寺へ向かっていった。
「チャリなんて久しぶりだなぁ!」
「…そうか」
他愛がないな
もっと内容のある質問をしてこいよ
「…あ、そういえばお前って中二病なのか?」
いやなんでいきなりそんな話を持ちかけてくるんだこの筋肉は!!確かに内容はあるけど!?
「っっ!?い、い、い、いやまままま全く、地獄の支配者に誓って違うが?なんでだ?」
あ、やべ、口が滑って地獄の支配者とか言ってしまった。
「ふーん」
よ、よかった……気づいてない
「だってお前の部屋に漆黒の翼とか、変な黒い稲妻のシールとかあったからさ」
何いっ!?此奴、我の至宝の片鱗を覗いてしまったのか!?―――ま、まあ俺の『闇の住人変身セット✙』が見られてないだけマシか…
よし、帰ったらすぐに至宝達を闇の住処(クローゼット)にぶち込んどこう♪
「おい、聞いてんのか?」
「―――ん!?あ、あぁすまん、今話してたんだ、我が叡智の結晶(脳内)―――ンンッ!!お前と」
ん?なんか今変なこと言った気が…
「はぁ?何いってんだこいつ…まぁ良いけどよぉ」
ふぅ、こいつが優しくてバカでアホで鈍感で良かった♪(75%悪口)
我が叡智の結晶の中で友達への(愛がある)悪口を言っていたらビルの端から寺が見えてきた。
「愁斗!神社が見えたぞ!」
「あぁ」
俺たちは近くの駐輪場へ自転車を停めると、寺へ急いだ。
それから俺達は神社を散策し、日記を探した――――が、結局見つからないまま1時を過ぎたので、少し寺から離れて昼飯にした。
「もぐもぐ……なあ、見つからないな」
「あぁ、隆輝はどこを探したんだ?」
効率がいいに越したことはなかったので俺たちは別々に探していたのだ。
「あぁ、俺は入り口からぐるっと時計回りに回っていったぞ」
「俺は逆から回った。賽銭とかおみくじとかのところも見たんだけど見当たらなかったな…」
「…俺も木の下とかもバッチリ見たんだが」
「なかった…か」
俺達は、はぁ、とため息をつく―
ん?
もしかしたら日記が出現する条件があるんじゃないか?
たしか俺が日記を見つけた時間は昼くらい、あいつは……ジムの帰りだから夕方か…
――となると条件は時間ではない?
「あ!隆輝、お前日記見つける前に何かしたことはないか?」
もしかしたら何らかの行動がトリガーとなって日記が出現するのかもしれない
「ん〜…いや、特にないな…」
「なら、場所は!?」
俺は賽銭箱の近くだった
「あぁ、木の下で見つけたぞ」
これも違うか…なら何が日記を出現させるトリガーとなるんだ?
時間も行動も場所もバラバラで何も共通していることが無い――いや、待てよ、たしか1ページ目に――
「隆輝、お前日記見つける前に少し体がおかしくならなかったか?」
「おかしく…?……あ!そういえば少し筋肉痛が酷くなった気がしたかもしれねぇ」
きた!これだ!日記が出現する時間や場所はランダムだが、出現する前には必ず体調不良や状態異常が引き起こされるんだ!
俺は昼飯をたいらげると、このことを隆輝に伝えた
「――!!たしかに!それだぁ!」
「だろ!でも、時間がランダムならここらへんで待つしかないよな」
「ん〜まぁ、そこは気長に待つとしようぜ」
俺たちは雑談をしながら気長に待った―
「イテテテっ!きたぜ愁斗ぉ!」
「ぐっ……おう!」
ついにこの時が来た。時刻は午後7時を回っていて、電気のない神社は暗いがスマホの光で神社を駆け回った。
木の下
無い
賽銭箱の近く
無い
おみくじ売り場
無い
入り口近く
無い
「くそっ、暗くて見つけづれぇ…!」
「出現する時間には限りがあるかもしれない!できるだけ早くしないと!」
何処だっ………!?
このまま見つからないのはやばい、今までの苦労が水の泡じゃないか
拳を握りしめて膝を叩こうとしたその時――――
「あったぞー!!!」
隆輝が歓声を上げた
「なに!?」
俺が駆け寄ると、隆輝の手の中には日記があった
――――
俺達はドキドキしながら家へ帰り、俺の部屋で日記を読んだ
✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚
2020年 8月4日
今日はみんなで霊前さんの家で作戦会議をした。
ちなみに霊前さんの家に住ませてもらっている。
友達が連れてかれてもみんなは前向きだった。特に玲夏なんて
「どれだけ深い深淵にも上には光があるんだよ、だから私たちの光の力を合わせれば大丈夫だよ。」
と、言っていた。
中二病臭くてみんなで笑ったな。
でもそのおかげで少し気持ちが和らいだ。
俺達は友達を連れてこの世界から脱出する。
絶対に。
✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚
俺も隆輝も固まった―――というか呆然とした。
だって
玲夏は学年一の清楚、そして学年一の美少女として有名だったからだ――
「「いやまじか………」」
俺達はトンデモ秘密を握ってしまった
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