第2話 失われていた友情(2度目の友達)

次の日――

今日は二度寝をしなかった(というか、眠れなかった)ので学校へ行った

目の隈はやばかったが、友達もいないので誰も気にしないだろう。

俺は自分の机に向かい、少し仮眠を取った。


「――いっ!――斗!」

「―――んのか!?愁斗!」

「………ん?」

寝ていると、誰かに叩き起こされた―

「…えっ?なに?」

寝ている陰キャに話しかけてくるなんて頭がおかしい…いや、もげているのか?


「…あ、でも話せるってことはもげてないか…」

「はぁ?何言ってんだお前…?」


確かこいつは同じクラスの………………

やべぇ、覚えてねぇ…

見た目はヤンキーって感じ、目が怖いし筋肉も結構ついている。


するといきなりこいつの目つきが鋭く、真剣になった―――

え?殺されるの?

「…お前、昔…いや、これを見たほうが早いか」

といって顔の前に出されたのは


「えっ…!?なんで…お前…が…」



 ✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚


2020年 8月3日



今日、俺たちはあの世へ取り残された。


友達も皆。

理由は「2人の友達」悪い霊に連れていかれたからだ。そのときに【入り口】も封鎖されて――

「2人の友達」と書いたのは、俺が、いや皆があいつらの名前を、あいつらとの思い出を無くしてしまっていたからだ。連れていかれた時に記憶を改ざんされたのだろうか。そこは分からない。

俺は皆から忘れられないようにここに名前を記しておこう。

朝祈 愁斗だ


俺たちは、必ず友達を取り返す

そして、この世界からも脱出してやる


 ✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚


「……っ!これは…あの世の日記…」

「これを見たらあのときの記憶が少し戻ったんだ。」

たしかに、なんとなくだけど、このときのことを思い出せた。

「…そうか、俺たち友達だったんだな」

「そうだ、俺でもびっくりしてるけどな」

と言ってニカッと笑うと


「俺たち、また友達になろうぜ」

「――!!」


隆輝はあの頃の記憶を失ってしまった自分たちが、また友達になることを望んでいるのだ

「……おう、喜んで!よろしく、隆輝!」

「おう!」


そして俺達は友達になった




―――――――


放課後、隆輝と俺は、俺のマンションへ向かっていた。

「いや〜こんな陰キャが俺の友達だったなんてな〜」

「ぐはっ………それにしても、その日記どこで手に入れたんだ?」

「ん?ああ、ここから1キロくらいのある寺でな、昨日ジムの帰りにちっと通りかかって寄ってみたら見つけたんだ」

「…そうか」

こいつジム行ってんだ…だからこんな筋肉バカっぽそうなんだ

そんな事を話していると俺の家へ着いた。

俺は玄関を開けると

「じゃあこっちで」

隆輝を招き入れた

「お前今はこんな家に住んでるんだな」

「…まあな」

俺達はソファに座ると、あの夜の日記の事について話しだした―


「まずはこれを見てくれ」

と言い、日記の1ページ目を取り出した。

「ほう、これは俺が見つけた日記の前のページか…」

隆輝は1ページ目を読み終えると

「…俺もなんとなく思い出した!」

「…じゃあ、この日記について今の段階で分かっていることをまとめよう」


――――――


一、これは俺、つまり朝祈 愁斗の日記である


二、この日記を読むと、なんとなく記憶が戻る


三、この日記を二人とも神社で見つけた


四、俺達には5人の友達と(自分を含めると6人と)あの世へ取り残されていた


五、 友達2人が悪い霊に連れていかれた 


――――――


「―――という感じかな…」

「いや、それともう一つ…連れていかれた2人について」

……ん?何かあっただろうか


「連れて行かれた1人は俺だ。だったら今、俺の記憶はお前にないはずだろ?」

「いや、俺たちがお前を助けたのだとすれば記憶が戻ってもおかしくはないだろう?」


俺はそこで気づいてしまった――そうか、いやでも……


「そう、


「……っ!つまり、まだ連れて帰れてないって言いたいのか!?」


「……ああ、そうだ。」

「いやでも、日記を読めば完全にその時の出来事を思い出せるってわけじゃないだろ!だからきっと……」


信じたくなかった――――まだ、2年たった今でもかつての友達があの世へ取り残されているなんて…


「でも、その可能性が高い…」

「くっそ…」


「だから俺達は真実を知るために、この日記を集めよう。」


俺達は夕日が照りつけるこの時間、この場所で真実と記憶を探しにいこうと心に誓ったのだった


―――――


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