第50話飛行機

俺は飛行機に乗ろうとしていた


海外に行くそれはいままでなかったことでだから嬉しくてたまらないそんな感情で俺は飛行機を見る


今の場面は飛行機の階段を上ろうとしている場面


その場面で俺は少しだけ立ち止まる


理由は簡単


いつから俺は人に恋することが出来なくなったのか


初恋をしたことはない……はずだ


だがボウリングで遊んだり七夕祭りで十川を助けて恋人になったりいろんな女の子達と出会い過去を知った


だからこそ今のこの十川にむけている気持ちの正体を知りたい


恋をしたことがないから恋ってどんな気持ちなのかが分からない


好きだと口にしてそれで気持ちを受け入れてもらえたらそれだけで本当に愛し合えたといえるのか


頭の中にたくさんの悩み事ばかり出てくる


だから自分の頭の中を整理しよう


十川との恋人としての関係に対して今俺は悩んでいる


そして自分の気持ちがどんな気持ちなのかを知りたいと思っている


それが俺の悩み


それだけ分かればまあ良いか


「ねえ立ち止まってないで先に進んでくれる」


「ああすまない」


俺は後ろにいた十川にそう言われて急いで飛行機の中に入り席に座る


俺の左隣には十川が座る


十川は窓に一番近い席に座る


近くて吐息がきこえてしまう


その吐息が俺の首を撫でてくる


くすぐったくて自身の髪をかくように触る


痒くて痒くてしかたがない


そんな感情になる


それで俺の右隣である廊下を挟んで座る席には霧雨がいた


「なあ遠くね」


「仕方ないでしょ人が通る場所を挟んでいるんだから」


「分かりやすく廊下っていえば良いのにわざわざ人が通る場所っていう辺り面白いね」


「いや面白くはないでしょ」


「まあそうかも」


「てきとうすぎるでしょまあどうでもいい話しだもんね」


「いやそうは思わなかったけど」


「そうそれで朝ごはんなんだけどこれ食べる?」


霧雨がピクニックに持っていくような黄色の木を編んで作られたようなカバンに入ったサンドイッチを渡してくる


「どうして急に」


「だって前いったでしょうぼくの作った料理を食べてみたいってさ」


「ああ確かにでも恋人がいるんだから作らないともいってたし」


「うんそのつもりだったけどもう一度きちんとフラれたことでぼくは前へ進むことが出来たと思う」


「……そうかならよかった」


「よくはないけどね」


「あはは確かに」


十川は自分の気持ちを理解して俺に想いを伝えてきた


そして俺にどうして恋をしたのかまでいってきた


そのうえで失恋を乗り越えたのだ


そう思い霧雨の横顔を見ると少しだけ涙を流しているのが分かった


だから乗り越えることなんてそう簡単に出来ることではないのだと分かった


如月三久は霧雨の隣で寝ていた


だからこの話しを聞いてはいない


寝たふりをしていなければだけど


りんちゃんは俺の真後ろに座っている


だから寝ているのか起きているのか分からない

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