第36話短冊

俺はりんちゃんの短冊に書いた願い事を聞いてみた


「なにを願ったんだ」


「別に普通のことですよもう自分のせいで誰かが傷つきませんようにってね」


それはりんちゃんが十川を傷つけたと責任に思っているから出ている言葉だとすぐに気がつき俺は


「いやりんちゃんのせいではないだろ」


「なぜですか僕がもしも葛野を信用しなかったらきっと男であることに縛られなかった」


「だが元々は家によって決められたことだろ」


「そうですけどでも僕がいなかったらもっといい方向に転んだはずなんです」


悪い方向にばかり考えているりんちゃんに向かって俺はこう口にする


「あのさもしもの話しなんてするなりんちゃんがどうありたかったかを考えれば良いだろ」


「それは……そうですね」


「だろだからさ下ばかり向いてないで上を向こうぜ」


昔の俺だったらきっとこうはいえなかった


色々な努力を重ねてその全てがうまく噛み合ったことで今の場所がある


きっと俺は天才なんだろう


だから努力をしても報われないやつがいるのも知っているけどその分だけ俺は天才として引っ張る


「変えます」


そういってりんちゃんは手に持っていた短冊に書いていた願い事をペンで消して新たな願い事で上書きする


「僕はこのいつもどおりの日常が永遠に続くことを願います……そしてそのために努力します」


「おう頑張れよ」


「だから支えてくださいねご主人様」


「おいなんでそんな呼び方」


「だって前言ったでしょう相沢に支えていてその相沢の恋人になったあなたは主ですから」


「そうだけどそうなんだけどなんか名前を呼んですぐに呼び方変わるのは違うんじゃないかなあ」


「衝撃的で面白味があるでしょう」


「ああ面白いよけどなやはり違うと叫ばせてもらうぞ」


「あはは面白い反応ですね」


からかわれたのが腹が立ったのでりんちゃんに対してからかうことにする


「いやあ可愛い執事ちゃんに支えてもらって幸せだよその上カッコいいんだから最高だよね」


「褒めるの苦手なんですねそれとも誉めることがないのかな」


「いやそれは違う」


「そう?なら嬉しいな」

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