第24話誘惑

俺はりんちゃんの誘惑を耐える試練を言い渡された


誘惑に負けたら追い出されて誘惑に勝てたら情報を教えてもらう


そんな条件で行われた勝負だが


「ねえねえお兄ちゃん」


吐息が聞こえてくるレベルで近づかれて内心ドキドキが止まらない


俺の足にりんちゃんの足が絡まる


「やめろ」


「ええそんなこといって嬉しいんでしょ」


「いやマジでやめてほしい」


これは試練なら別段興奮はしない


つうかこうやって誘惑をされたことなんて何回もあるし


最初は慣れなかったけど10回行くぐらいで慣れた


「なんでよおかしいじゃん僕の誘惑は大体の人が負けるのに」


「悪いな俺は興奮しないみたいださあ教えてくれよ」


「いやだもんまだ負けてないもん」


「もんって変な口調だなそれに負けてないと認めないのはダメだと思うぞ」


「うるさい」


負けず嫌いな執事を見て俺は


「なあなんで男装なんてしてたんだ誘惑なんてするならメイドでいた方が効率的だろ」


「それは僕が相沢と出会ったころまで話が戻ります」


唐突に始まった過去の物語


それは男装執事と男装お嬢様のお話


新ヒロインがこのタイミングで二人も追加されるってどう考えても扱いにくいだろ


そんな言葉が口からでかかったがやめた


この話は小学校高学年の頃の話しだ


「おじょうさま今日からメイドをすることになった林道啓介と申します」


礼儀正しくお辞儀をした女の子に目をキラキラと輝かせながらきらびやかな服装を着こなす一人の女の子が握手をする


「あなたが新しいメイドさんねわたくしの名前は相沢十川よ」


「あいざわとおかさま」


「そんな言い方よそよそしくていやだわ相沢と言いなさい」


「いえそんなことは言えません」


「言いなさい」


じりじりと圧をかけられて僕は諦めて


「分かりました相沢さま」


「やめなさい」


「相沢」


「よろしい」


そのきれいな笑顔を守りたいとそのとき僕は決意した


でも現実がうまくいくことはなかった


相沢は男としての人生をむりやり歩まされた


「なんでそんなことをするんですか」


僕は相沢の両親に直談判をした


「反対をするならクビにするぞ」


そう脅された僕は諦めるしかなかった

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