天使は笑わない

@itautau

第1話 天使の出現

私は日常を淡々と過ごしていた。毎日同じように学校に通い、勉強して、帰宅して、また翌日が来る。特別なこともなく、ただ流れるように時間が過ぎていく。

私の名前は美咲。普通の女子高校生。何も特別なことはない。


しかし、ある日突然、私の平穏無事な世界が崩れた。


_________天使、現る。_________


というタイトルのニュースが、家のテレビから流れた。

私はその映像に目を奪われた。白い翼を持ち、輝くような光に包まれた天使たちが、街の中心で微笑んでいる。その光景はあまりにも美しかった。


天使たちが登場すると、すぐに社会は騒然となった。彼らは、人々の願いをかなえる力を持っているとされ、その力は神秘的で、誰もが信じるしかなかった。

私の学校でも、友人たちがその話題で盛り上がり、私もついでに話を聞いた。

けれど、私はそれに興味を持てなかった。どうしても信じられなかったからだ。


それが変わったのは、母が病気になったときだった。母は私たちが小さい頃からずっと働き続け、家族のために尽くしてきた。その母が突然、深刻な病気にかかってしまった。医者も驚くほどの進行具合で、治療法が限られていると告げられた。私たち家族は、途方に暮れていた。


そんなとき、天使たちが治療の手助けをすると聞いた。最初は半信半疑だったけれど、他に選択肢がない以上、試してみるしかなかった。父と兄は天使たちに接触し、

母の治療を依頼した。天使たちは、まるで夢のような言葉をささやきながら、

治療を始めた。


治療が進むにつれて、母の容態が良くなったように見えた。天使たちの力が本物だと感じた。しかし、何かが引っかかっていた。どうしても心のどこかで警鐘が鳴っているような気がしてならなかった。それでも、私はその疑念を押し殺し、母の回復を祈るしかなかった。


しかし、その矢先、家族の姿が忽然と消えてしまった。


母が天使たちの治療を受けた直後に、家族全員がいなくなったのだ。

最初は、何かの手違いかもしれないと考えた。警察に連絡し、捜索を依頼したが、どこに行ったのか、手がかりすらつかめなかった。


私は一人残され、家族がいなくなった空虚な家で過ごすことになった。心に重くのしかかる不安と恐怖が私を襲った。天使たちの美しい光景が、私の心の中ではすでに恐怖の影に変わっていた。家族を取り戻すために、天使たちの秘密を暴かなければならないと感じた。


そんな中、出会ったのが、天使のエリスだった。


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