第16話 復帰配信きちゃーー!!
まーじかー…バズったか…俺。
「ね?だから大丈夫!!」
大丈夫なら大丈夫で…いいか。
そうして、七瀬さんは配信準備を始める。あの荷物の中身…ほとんど非常食だった。学んでんなぁ。
「これでよし。カズキ、大丈夫?」
「は、はい、なな…アスカさん。」
「おっけ!じゃあ始めるよ!」
そうして、端末の操作をする七瀬さん。こういう技術も色々進んでるんだな…あれ浮かんでるけど魔術とか組み込んであるのか?俺はその辺りのことはよく解らん。
「よーし…皆見えてる?」
あ、明らかに声のトーンが上がった。プロだ…。そうしてコメントとにらめっこする七瀬さん。
「よしよし、見えてるっぽいね。じゃ今日も初めて行こー!!とその前に、この度は本っ当にご心配お掛けしました…。」
人の配信…こんな近くで見る機会無いから解んなかったけど…。
「自分が不甲斐ないばっかりに―――――。」
この人、本当に配信が好きなんだな。
「―――――それと、もう1つご報告です!大丈夫こっちは嬉しい方。実はですね、パーティメンバーが決まりました!!」
そうしてカメラがこちらに向く。てか、この人台本無いから全部アドリブで補完しなきゃならんやんけ!!
「か、カズキです!よろしくお願いします!!」
「このカズキくんはね…何を隠そう私が遭難したあのダンジョンで出会った人なのです!!と、言うわけで若干ぎこちないかな~とも思うけど実力はたしかだからね。いや~心強いよ!!」
え?今この人さりげないフォロー入れた?いや…配信については、俺はもうこの人に任せよう。
「それじゃあ早速、行ってみよー!!」
そうして、俺の初めてのダンジョン攻略。そして初めてのダンジョン配信が始まったのだ。
そうは言っても見せ場を意識した立ち回りとか俺はあんまり出来ないからな…不安ではある。
そんなこんなでわかったことと言えば、低階層の魔物ならば俺1人でもどうにかなると言うことだ。まあ、一番下で狩りしてたしそうと言えばそうなのかも。
「流石カズキくん。でもペース配分は気を付けるんだよ?」
「はい。」
一通りゴブリンを殲滅する。ダンジョンは生きるか死ぬか。殺すか殺されるか。だから殺しはしたが…好かんな。この感覚。やはり、自分から訳無く襲うと言うのは性にあわない。だがまあ、それを押し付けようってわけでもないがな。
七瀬さんには七瀬さんの生き方がある。これが生業なんだから、考え方を変えれば七瀬さんも生きるために殺していると言うことだ。何ら、俺と変わらない。なんなら、俺もそう言う道に進もうとしているのだ。
まだまだ頑張らなきゃな。
――――――――――
「チッ…。」
「こらこら、行儀が悪いですよ。これから社長のところに行くって言うのに。」
「ああ、悪かったな。」
「にしても、驚きました。まさかこんな簡単に引き抜けるとは。レオン、No.2、二宮 天音さん。」
「私はもうあんなところには居ない。ここが居場所なんだろ?」
「そうですね。センチピードの天音さんでした。」
そんなことばを聞き流しつつ、スマホの画面を見る。
「おや、ダンジョン配信ですか。これは…アスカさんの。」
「勝手に見てんじゃねぇよ…。」
「お好きなんですか?アスカさん。」
「好きなわけあるか!あんな奴!!」
「ですよねぇ。何時もあなたは彼女の下でしたからねぇ。」
「テメェ…切り殺されたいのか?」
「おっと失敬。しかし、良いではありませんか。あなたはもうあんなところには居ない。これから見返してやるチャンスを得たのですよ?」
「…。」
「このセンチピード…No.2の私が保証します。」
その時、ゾクリと殺気を感じた。身震い?この私が?こんなヒョロガリに?百出…明らかに私を煽っているのは確かだ。狙いが解らん。
だが、ここにいれば…あいつを見返すことが出きる。それで良い。
「…ふふ。」
「…さて、そろそろ到着しますよ。」
センチピード…レオン、サン シュヴァリエと並ぶ大手のクラン。創設者は
――――――――――
『ほう…二宮 天音くんね…それで、私の子に勝てるのかい?』
『さあ?貴方の娘さんはとてもお強いですから…ただ、器としては上出来ですよ?』
――――――――――
復帰配信きちゃーー!!
重大発表もあるって!
パーティメンバー加入!!
ダンジョンで助けてくれた人、、もしかしてあの人!?
素顔公開じゃん!!
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