第6話 流石、Sクラスの探索者
m41@アマネ推し
てか、アスカ結局生きてんの?最近マンネリだったんだから死んだらよかったのに
――――――――――
そこまで書いて文を消す。
「チッ。」
アイツは生きてるみたいだ。昔から頑丈だけが取り柄だった。だけど流石に死んだと思ったんだけどな。
呑気な飯テロに苛立つ。魔物食ってまで生きたいかね?
「まあ、でも…バズるチャンスでもあるか。」
狡猾に生きるのが私のモットーだ。そう言うわけでパーティのグループLINEに連絡を入れる。
『アスカの行ったダンジョンってこの辺だったよね?』
すぐに返信が来た。ナナか…やっぱりマメだな。
『救出に行くの?』
『行くよ』
それだけ返してスマホをおさめる。さてと配信の準備しなきゃ。
「稼がせてもらうよ。アスカ。」
―――――――――――――――
さて…こいつをどうする?いや、どうするもこうするもない。ともかく七瀬さんの救出を―――――!?
「な…なせ…さん?」
立っている。その足で。
「大丈夫…頑丈なのが取り柄だから…。」
そんな風に笑ってるけど…笑ってられる血の量じゃない。だけど…なにができる?
思考の余地無く巨体が暴れまわる。正面からの突進。
「くっ…!!」
あの竜よりも速い…こんなの確実に…。
『課題―――――』
「おまえは…いつもそうやって決めつけるな。」
呟きながら、そのフィールドを駆け巡る。あくまでもヘイトは俺に向くように。
奴が動くだけでも地響きが凄まじい。
『課題―――――』
「なあ…解ってんだよ。おまえの出してる課題は必ず果たせるものになってるって…。」
軽口を叩きながら、なんとか攻撃を躱していく。
突如、動きが変わった。なんだ?何を仕掛けてくる?
口から吐かれた溶液を視認し理解する。毒だ。付着した岩は煙をあげる。
酸かよ…飛び道具も使えるのはどうかと思う。
『課題―――――』
正直…俺が逃げるだけならなんとかなる。さっきの隙間もそうだが、上層への階段も見つけた。
だが、逃げろとは表示されない。つまりは…この課題は俺の心の底から求めている物に対する課題。
それがないと言うことは。
「諦めろってか…?」
そんな言いなり、認めるわけがない。諦めが悪いのが俺の取り柄だ。だからまだ避け続けなきゃ。
奴の身体がうねる。ヘイトが完全にこっちに向いているのが有難い。
ふと視界に七瀬さんを入れる。奴とは逆方向。想定どおり。後は七瀬さんが気づいてくれれば…どうにかなる。
と、思ってたが…流石に判断が速い。思わずにやける。
『課題―――――』
「こんな状況でも諦めろって言うんだな…?」
この課題が間違えたことなど1度もなかった。言うことを聞いておけば大体どうにかなった。こいつの通りにしていたから、俺は今生き残ることが出ている。
だが、今回ばかりはイラつく。
『課題―――――』
「テメェは…俺の親かよ。」
ポツリとこぼした。奴の猛攻が続く。紙一重で躱せているのが幸運なくらいだ。
「ダンジョン最下層で生き抜いてきたんだ…舐めんな?」
余裕なんて無い。だけど…恐怖もとうに無い。ともかく、俺はこいつの動きを拘束する術を考えよう。
図体の割りにすばしっこい。巨体と相まってあれに触れたらただじゃすまない。七瀬さんの一撃の射程は割りと長いが…一撃の威力をあげることを考慮してもこれ以上は離れられないだろう。
「一樹くん!!」
合図だ。芯で捉えてもらわなきゃ困る。生物のもっとも油断する瞬間―――――。
「―――――納得。」
コイツがムカデであることを考慮しよう。
俺は、その足を止めた。
狙いどおりに、奴は俺に向かってくる。
「一樹くん!?」
「今です!七瀬さん!!」
節足動物なら、縦に斬らなきゃあんまり効果がない。ましてや魔物。何が起きるか解らない。
「…うっ…あぁぁああぁああぁああ!!!!!」
流石、Sクラスの探索者。えげつない気迫だ。直後、衝撃が襲う。
「がっ…あぁっ!!」
嗚呼、胴を噛まれたか。そのまま持ち上げられる。
熱い…。酸の影響か。七瀬さんすごいな。これを食らって…あれを撃てるんだから。
そう言えば初めて会った時も…空から降ってきたんだっけ。身体強いなぁ。
直後に、意識が飛びそうな位の爆風が襲った。
着弾。
奴の身体は引き裂かれた。
七瀬さん…優しいな。俺を避けて、斜めに斬ったんだ。
まだ…意識を保て…コイツが確実に死ぬときまで。
浮遊感…落ちていく?
嗚呼もう何もわかんねぇや。
全身に衝撃だけ感じた。
暗いなぁ…。
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