第5話人生の大逆転(ヒロインR15イラスト有り)

 朝の7時頃、我らがサルチン伯国の領主館の大広間。


 ウチ全家族と全幹部が集まり、緊急会議が開かれていた。


 議題の中心にいるのは、実母マリヤと俺の二人だ。


 家臣からの衝撃的な報告を聞いて、母マリヤは口を開く。


「本当にイヴァノフ兄上が…モスクワフ”帝国”の初代皇帝になったのですか?」


 なんと、母の実兄イヴァノフが”皇帝”の爵位を、ローマン教皇から頂戴したのだ。


 ローマン教皇関係者から、当家が入手した情報は、次の内容だった。


 ――◇――


 ・東方の異教徒を討伐するための、イリスト教国の連合国軍に、ローマン教皇が激励に訪れた。

 ↓

 ・少数の護衛しかいない時、異教の部隊に襲われ、ローマン教皇が捕虜になってしまった。

 ↓

 ・連合軍に参加していた、モスクワフ大公国のイヴァノフ公爵が、自ら先頭に立って突撃し、教皇を見事に救出。

 ↓

 ・その勢いのまま、異教徒軍の総大将も、打ち取る鬼神の活躍をする。

 ↓

 ・命の恩人であるイヴァノフに、ローマン教皇は感動し、異教徒から得た広大な土地と、”皇帝”の位を与えた。

 ↓

 ・モスクワフ公国→モスクワフ帝国に昇格。イヴァノフが初代皇帝となった。


 ――◇――


 こんな感じの流れだ。


 既存の神聖ローマン皇帝に続き、二人目の新皇帝がヨーロッペ大陸に誕生した。


 イリスト教圏内の各国で、”皇帝”という地位は特別な存在。


 そのためモスクワフは二階級特進で、一気に一流国家の仲間入りをしたのだ。


 https://kakuyomu.jp/users/haanadenka/news/16818093082956359695

 ※オスマンチン帝国は異教徒の国家


「旦那様、これは大変なことになりますな、当家も」


 老臣が眉をひそめるのも無理はない。


 今やマリヤ夫人は、皇帝の妹という高い身分。


 その息子のジノ、俺は皇帝の”甥っ子”になってしまったのだ。


 特に独身でフリーな俺の立ち位置を、家臣団は気にして、口を開く。


「マリヤ様。モスクワフ帝国内で、ジノ様の継承順位は、いかほどですか?」


 家臣たちが気にするのは、俺の帝国内での継承順位。


 あまり上位すぎると継承騒動や戦争に、俺とサルチン家が巻き込まれてしまうのだ。


「たぶん第四位くらい。ですが、イヴァノフ兄上には健康な息子たちがいるので、大丈夫かと思います」


 マリヤ母の説明だと、俺の代には帝位継承権は回ってこないと。


 その情報に家臣団は、ホッと安堵の息を吐く。


 そんな時、サルチン伯王、俺の父が静かに口を開く。


「みなの者、午後から忙しくなるぞ! 覚悟しておけ。あと、今日からジノに護衛を付けろ」


 父のその言葉で、早朝の緊急会議は終了。


 家臣団は俺のために即座に緊急対策チームを作り、俺の周りは一瞬で騒ぎくなった。


 ◇


 その日の午後になる。


 父ブルーノの予言は当たる。


 ――ガヤガヤ…ガヤガヤ…ガタガヤ…


 サルチン市の領主館に、無数の来訪者が押し寄せてきたのだ。


「おお、なるほど! そのお方がジノ殿でございますか⁉」


「”あのイヴァノフ皇帝”の甥っ子殿の?」


「さすが、”あの新皇帝”のご親族様! 風貌が違いますな!」


 彼ら使者の目的は、俺の顔と人柄を確認すること。


 今、ヨーロッペ大陸で一番注目されている、新皇帝イヴァノフの甥っ子、俺を見に来たのだ。


 弱小国の我が家に、こんなにも一気に外交官が来訪したのは初のこと。


 そのため我が家は総動員で、

 特に俺と父上、母マリヤと、ずっと来訪者の相手をしていく。


「ブルーノ殿はたしか神聖ローマン皇帝の遠い親戚だと、聞きましたが?」


「両皇帝の血を引くジノ殿。いやは、見事な血統ですな!」


 父はかなり血は薄いが、現神聖ローマ皇帝の一応は親戚になる。


 だから俺の血統は、知らない所で更に希少性を増していた。


 ”モスクワフ皇帝”&”神聖ローマン皇帝”


 現在、二つの血を同時に引くものは、ヨーロッペ大陸に一人だけ。


 ジノ・デ・サルチン、俺だけだ。


「是非とも、我が公爵家の長女の婿殿に!」


「是非とも、我が公国の長女の婿殿に!」


 しかも俺は自由な独身四男。


 だから他国は唯一無二の俺の血統を、自分の家に引き入れようと必死だった。


 特に各国の公爵家や公国からの押しが強い。


(血統主義…か。中世ヨーロッパと同じだな)


 純血な日本人は理解しがたいが、中世ヨーロッパの王侯貴族世界では、とにかく血統が重視されていた。


 人格や能力は二の次だ。


 その者に問題があるのなら、その子たちを帝王学で育ていけば良いだけ。


 簡単に言うと他国から、俺は”種馬子息”として見られているのだ。


「ブルーノ殿、是非とも、今度ゆっくり我が国と、ジノ殿の縁談の話を…」


「いや、歴史ある我が公国と…」


 こんな感じで日中は、来訪者への対応で、俺は忙しい日々が続いていく。


 ◇


 夕方になると、今度は大商人たちが、次と来訪してくる。


「ブルーノ様、よかったら、コレをどうぞ…」


「マリヤ様、こちらの装飾品も、よかったら差し上げます…」


「ジノ様、こちらのガウンとマント、よかったらどうぞ…」


 彼らは近隣諸国の大商人たち。


 モスクワフ帝国は北方の大国で、毛皮、木材、鉱産資源などの宝庫の地。


 だから大商人たちは俺たちの機嫌をとって、モスクワフ帝国との新たな交易ルートを形成しようとしたのだ。


 https://kakuyomu.jp/users/haanadenka/news/16818093082957344961


「こちらはフランクス王国産の高級ワインです。どうぞ、お飲みください…」


「こちらは年代物のワインです…」


 献上品をもってきた大商人や各国の使者と、毎晩のように大広間で夕食会を開く。


 予算は向こう持ちなので、俺たちは参加するだけの豪華な夕食会。


 大道芸人や道化師、音楽団も雇ってきたので、サルチン領主の館は毎晩が祭りのようになっていた。


 ちなみに俺の婿入り先は急がずに、じっくりと決めていくことになった。


 ◇


 そん感じで、数日間、騒がしい毎日が過ぎていく。


 今はようやく落ち着いた、ある日。


 時間は21時頃。


 今日も来訪者と宴会の対応があったが、俺はまだ部屋で起きていた。


 何故なら今宵は寝る前に、”ひと仕事”が残っているからだ。


「ジノくん。お疲れ様。それじゃ、今日も練習しよっか?」


「はい、よろしくお願いします、カテリーナさん!」


 それは性教育の仕事。


 初回以降、週に二回のペースで行っている、カテリーナさんとの性教育の夜なのだ。


 彼女からは色んな体位の、コツを実戦で教えてもらっていた。


 今宵も何回戦も練習していく。


 ◇


 https://kakuyomu.jp/users/haanadenka/news/16818093082956396029


「……もう私が教えることは、ないかもね…」


 一ランド終わることに、俺たちはピロートーク反省会をしている。


「そんなことないです。俺、すぐなので、まだ自分をコントロールできないので」


「でもジノくんは一晩で6回以上もできるから、コントロールはいらないかもね? ふっふっふ…」


 前世以上に、このジノの体は性欲が半端ない。


「それもカテリーナさんが魅力的だから。感謝してます」


「ありがとう。ジノ君、女の人を褒めるが、上手だね」


 新婚生活ではピロートークも大事なので、こんな感じで俺は彼女を腕枕しながら会話していく。


 話内容は、互いの今日の仕事のこと。


 大変だったこと、面白かったことなど。


 本当の夫婦のように、ゴロゴロしながら話をしていく。


「それにしても、ジノくん。一気に人気者になっちゃったね」


「いえいえ。俺の実力ではないから、浮かれないように気を引き締めてます」


 イヴァノフ伯父さんが皇帝になってから、領内での俺の評価も激変していた。


 特に女子の対応、侍女の子や豪農の娘たちが、急に俺に色仕掛けで寄って来たのだ。


 中にはあからさまに『ジノ様…種付けしてもらっても良いですか?』と、俺の股間をさすってきた子もいた。


 でも、前からアンジェ姉さんに「浮かれちゃ、ダメよ、ジノ」と、キツく注意されていたので、俺はその全てを断っていた。


 結婚相手が見つかり、成立するまで俺は領内では気を気を引き締めないといけないのだ。


「ちゃんと断っているんだ。やっぱり、ジノくん、最近、一気に大人ぽく、なってきたよね?」


「そうですか? たしかに身長は伸びた気がしますけど」


 14歳の成長期ということもあり、いつの間にかカテリーナさんの身長も追い抜いていた。


「それじゃ、ジノくん。次は大人っぽくシてみようか?」


「はい。よろしくお願いいたします」


 ◇


 こんな感じで、また数ラウンドを済ませたら、今宵の性教育も終わり。


「ふぉぁああ…それじゃ、おやすみ、ジノくん…」


 今宵だけで10回以上はイッたカテリーナさんは、俺の腕の中で幸せそうに眠りにつく。


「おやすみなさい、カテリーナさん」


 最近は彼女は性教育の後は、俺の部屋に泊まっていく。


 他の人が起きる前の早朝3時前に、彼女は自室に戻っていく生活スタイル。


 でも腕枕している今は、恋人や夫婦みたいで、俺にとって最高に幸せの時間だ。


(カテリーナさんと夫婦生活できたら、俺は幸せなんだろうな…)


 裸体で俺に抱きついている、初恋のお姉さんを見ながら、俺は感慨深くなる。


 美人で可愛くスタイルがよく、性格も明るく料理も上手で、しかも体の相性はバッチリなのだ。


(でも、そんな夢は叶わないな…)


 この人は仕事だから、俺と性行為をしているに過ぎない。


 あと、この時代は結婚相手は、親が決めるのが常識。


 俺は政略結婚の道具として、遠くない日に違う女性に、婿入りしないといけない。


 だからカテリーナさんとは関係は、今だけの淡い時間なのだ。


(せめてサルチン領にいる間だけ、この人を精一杯、幸せにしてあげよう)


 そんなことを思いつつ、週二回のカテリーナとの性教育の夜は、毎回幸せだった。


 ◇


 だがカテリーナと週二回以外の夜も、俺は色んな意味で大変だった。


 とある夜の八時過ぎ


「ジノ。動いちゃだめよ」


 全裸の俺は上向きで、自分のベッドに拘束され、銀髪の美少女に攻められていた。


「…イキそうです、姉さん…」


「気持ち良いでしょ? でも、まだダメ。貴族として我慢しなさい」


 俺を性の実験道具にしてて、攻めてくるのはもちろんアンジェ姉さんだ。


 https://kakuyomu.jp/users/haanadenka/news/16818093082957089482

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