御坊会①

7月某日昼、T氏から連絡が入る。

「今週末空いていますか?」


私はスケジュールを確認する。

空いてるよ。


「1泊2日でS島で調べたいことがあるから付き合ってほしい」


S島ってあの?まあ良いけど。


「じゃあ土曜の朝一で迎えに行きます」


T氏はそう言うと電話を切った。


T氏は大学で民俗学を専攻し、その後小さな博物館で学芸員をしている。民俗学を専攻していたが、正直大学時代の彼はアカデミック寄りというよりサブカル寄りのオカルトマニアだった。そんな繋がりで今でもあらぬネタを教えてはくれる。うまく利用されてる気もしないでもないが、趣味で付き合う分には楽しい。


しかしながら調査といえば予算がつくのだろうか。実費でオカルト探索をしている私からしたら羨ましいかぎり。そもそも今度のS島の件も実費負担だろうか。宿代くらい出してくれないかな…。


そんな事を思い浮かべつつも、私の視界は煌めいていた。

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