N高原−2
その日、KとMはKの車で趣味のドライブをしていたそうだ。少し遠出をしようと、N高原のドライブコースまで足をのばした。N高原の不思議な噂は二人とも知っていたので、それを確かめてみたいという好奇心もあったらしい。
N高原には何箇所かドライバー用のパーキングスペースがあり、そのうちの1箇所に公衆トイレがある。その公衆トイレにもいくつか噂があるようで、肝試しにやってくる若者が多い。
KとNも面白半分でその公衆トイレのあるパーキングに立ち寄った。公衆トイレは山奥にある割には比較的新しいものの、落書きが非常に多かったらしい。ニ人はいくつか写真を撮って、来た道を戻り遅めの夜食を食べようとファミレスにやってきたそうだ。
Kは車が趣味であることもあり、出先で必ず愛車の写真を撮るのが日課であった。私もその日課はよく知っており、昔は一緒に出かけるたびによくまあ飽きずに撮れるものだと感心していた。
Kはファミレスでも日課である写真を自身のスマホとMのスマホで撮ったという。そして撮れた写真が、私に見せたこの写真だという。
一通り話を聞いた私は、Mのスマホをスライドさせた。すると次の写真も全く同じアングルであったものの女性の姿はなかった。
「これって、やばい写真かな…」
Mが恐る恐る私に尋ねた。
「本当に助手席に誰もいなかったのであれば、いわゆる心霊写真にはなると思う。ただ俺も趣味で何枚か見せてもらったことはあるけど、ここまではっきりと写ってる写真は見たことがないし、俺がどうにかできる訳でもない。」
私は正直に答えた。
「どうすれば良い…?」
Kが口を開く。
私は少し考え、Mのスマホからその写真を消去した。別に消したからといってお祓いされるとかそういうことではないと思うが、とりあえず消してみた。
「これで大丈夫かな?」
「大丈夫とは思わないけど、心配ならお寺とか神社へ行ってみたら?この辺だと〇〇寺がそういうの対応してくれるって噂だよ。」
私がそう伝えると、二人は少し安堵した様子だった。
私は次の日も早いのでその日は別れた。
後日、というか先ほど、再びKから連絡があった。
どうやら教えたお寺で無事お祓いをしたらしい。そこで住職に言われたことがあるから伝えるという。
その日K達が住職を訪ねると、住職はため息をついて「N高原に行ったか?」と聞かれたらしい。K達は驚いたが、住職は慣れた様子で御経をあげてくれたそうだ。
そしてKとMに住職は次のように言った。
「今後二人共、N高原に近づいてはいけない。次に近づけばもって行かれる。それと、写真を消したと言っていたが、その写真を見た人もN高原に近づいてはいけない。もっていかれる可能性がある。絶対に近づいてはいけない。必ず伝えなさい。」
住職の言葉通り、Kは律儀に私に連絡をしてきてくれたらしい。
「N高原には近づくなよ!」
電話元でKが念押しする。
私は「わかった」といい電話を切った。
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