第2話 まずは散歩からでござるよ!!


 前回、垢抜けを決意した陽太。陽太は次の日が休日で幼馴染もその日に予定が空いてるということで、一度体を休めて垢抜けは次の日にすることにした。


 次の日、少し重い足取りで公園に向かう陽太。そこには先に着いていたのか、幸一の姿があった。


「陽太、よく来たな。それじゃ早速今日の垢抜けを発表するぞ」


「よ、よろしくお願いするでござる!!」


 陽太の返事とともに、一度溜め込むように一呼吸を加え本題を発表する。


「今日の垢抜けはズバリ、散歩だ」


「さ、散歩でござるか?想像していたよりも簡単そうでござるが…」


 散歩、そう聞いて陽太は公園に向かう道中、前日に幸一にもらった助言で撮った自身の姿を思い返しながら「そんなもので本当に痩せられるのか…?」と疑いの表情を浮かべながら幸一に尋ねた。


「あぁ、確かに散歩は一般的に世に出ている垢抜けメニューに比べると大きな効果は得られない」


「それなら意味がないのではないでござるか!?」


「いや、意味はある。まず散歩は効果がないだけで、しっかり痩せることができる」


 幸一が順序だてて説明していく。それと二つ目に…といった様子でもう一つの理由を話し始める。


「2つ目にこれは少し個人的な意見にはなるが、まず最初のうちは垢抜けということ自体に慣れることから始めた方がいい」


 最初のうちからハードルを高くすると続けるのがしんどいからな…と幸一は最後に付け足した。


「なるほど、つまり最初は簡単なことから始めて体に慣らしていき、そこから少しずつハードルを上げて段々とやることを増やす、ということでござるかっ!?」


 まるで自分が天才とばかりに鼻息を荒くしてどや顔をかます陽太。自身のアイデンティティともいえるメガネをクイッ!とする様子に幸一は「まぁ、大体そんな感じだな」と返事を返す。


「とりあえず散歩をするってことは納得してもらえたか?」


 一応聞いておくが、といった様子で陽太に確認する幸一。


「ふっ、もちろんでござるよ。ばっちりいつでも来い!って感じでござる!!」


「よし、やる気は十分あるみたいだな。それじゃ早速公園周りを散歩するぞ」


「おーでござる!!」


 そして公園周りを散歩し始めた陽太達。10分ほど立ち、公園周りを2周半ほど回ったあたりで陽太が言葉を発した。


「ギブでござる」


 そう言って何かの因果か、ちょうど近くにあったベンチに腰掛けた陽太。その隣に少々「マジか…」と言いたそうな顔をしながら隣に幸一が腰掛け陽太に尋ねた。


「陽太、お前疲れたのか?」


「そうでござるぅ、拙者舐めていたでござるよ…!!散歩とはこんなに難しいこととは知らなかったでござる!!!」


「ま、まぁ最初だしな。いったん休憩して次にもう1回…」


「も、もう1回でござるか!?流石にんでしまうでごさる!!無理でござる!」


 幸一がもう一回行くか、といったことに陽太は焦った様子でそう返した。それに対して幸一は困った顔をしながら、んー、じゃあこれならどうだ?と一つ提案をする。


「じゃあ休んだら1回だけ、1周だけ散歩しよう」


 その提案に対して少し迷った様子と嫌でござるなぁといった様子を見せながら、だが「それならやってみるでござる…」と意外なことに陽太はやる姿勢を見せた。


「よーしえらいぞ陽太。それじゃ一旦を休めて最後に1回散歩に行くか」


「うぅ~、垢抜けるためならば仕方がないでござるぅ。頑張るでござるよぉ…」


 そうして体をしっかり休めて、公園を一周してこの日の垢抜けは終わった。その後はそれぞれ家に帰り、陽太は一度シャワーを浴びて泥のように眠りについた。


「拙者頑張ったでござるよ!!!」

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