変わりたい拙者♂の垢抜け譚!

ごりこ

第1話 拙者、垢抜けをするでござる!!


「拙者悔しいでござる!!」


 とある部屋の一室に青年の声が響く。その声を響かせている青年は大きな体を震わせながら悔しいような、悲しいような…そんな気持ちを目の前の青年にぶつけていた。


「どうしたんだ陽太?そんな怒るなんて…何かあったのか?」


 心配そうに目の前に座っている青年が尋ねる。陽太と呼ばれた男は怒りが抑えられない!といった様子で何があったのかを話した。


「ふむふむ、なるほどな。クラスメイトに外見について馬鹿にされた、と」


「そうなんでござる幸一殿!!今日の放課後、偶然通った教室でクラスメイトが拙者の外見を馬鹿にしていたのを聴いたのでござる!!このっ、このっ、このっ!!」


 幸一と呼ばれた男は落ち着いた様子で話を整理し、陽太はまだ怒りが抑えられないのか枕に向かって怒りをぶつけるかのように叩いていた。


「とりあえず落ち着け陽太、怒る気持ちもわかるが今後どうするかをまず考えよう」


「今後どうするって言ったってどうするでござるか!!!外見なんてどうしようもないでござろう!!」


「待て、まずは落ち着け」


 幸一に落ち着くよう促され数十分後、落ち着いてきた陽太が幸一に尋ねる。


「幸一殿、拙者どうすればいいのでござろう」


「陽太、とりあえず垢抜けするのはどうだ?」


 そう言われた陽太は頭に?を浮かべ、何のことかわからないといった様子だった。ただ現状の解決にはなるか?と少し希望を持った様子で幸一に詳細を聞く。


「陽太、垢抜けっていうのは簡単に言うと外見をよくすることだ」


「そ、そんなの拙者には無理でござる!!無理無理無理無理!!!」


「大丈夫だ陽太、陽太がやればいいことは痩せて筋肉をつけることだけだ」


「それでも拙者には少しハードルが…」


「でもよ、何もしなかったら何も変わらないぞ?」


「それは…」


 少し心にクるものがあったのか、陽太は言葉に詰まった。今まで何もしてこずに何も変わっていない自分が少し情けなく感じたようだ。


「大丈夫だ陽太、俺も一緒に頑張るから」


「幸一殿……うん、そうでござるな。拙者頑張ってみるでござる」


「ああ、一緒に頑張ろうな」


 青年たちは互いの拳を合わせて、これからのことに思いをはせながら決意をした。さぁ、いよいよ垢抜け譚の幕開けだ。


「拙者、垢抜け頑張るでござるよ!!!」

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